錦です。
昨月急浮上した、Appleが任天堂を買収するという話についてです。
話題の背景
今回、任天堂買収の話が急浮上した原因は、今年3月に任天堂の株式を多く持つ京都銀行など5つの銀行が、任天堂株約242万株を売りに出したことから始まります。任天堂は同社株を100万株自社株買いしました。大株主であるこれらの銀行(安定株主)がいなくなったため、買収が容易になるのではという観測が出ました。
Appleは、ティムクックCEOになってから、多数の企業を積極的に買収し取り込んでいます。Shazamがいい例かな。
また、ティムCEOは、米メディア・バロンズの記事に「大型の企業買収を検討している」と述べていることがわかっています。
なぜApple
では、任天堂が買収しやすくなったからといって、なぜAppleという観測が出たでしょうか。
理由は、3月25日のスペシャルイベント。3月25日のイベントでは、AppleNews+、AppleTV+といった定額制のサービスが発表されました。その中でも、任天堂買収の憶測が出そうなのは「AppleArcade」です。
AppleArcadeは、定額をAppleに支払うことで、多数のゲームが広告なしで遊び放題になるサービスです。
AppleArcadeでのAppleの弱み
AppleArcadeが開始するにあたって、Appleには弱点があります。それは、自社開発のゲームソフトウェアがないこと。Appleは、iOS macOSといったゲームができるプラットフォーム自体は提供していますが、そこで自社のゲームをほとんどリリースしていません。
また、Appleの子会社にも有力なゲームを開発している企業はありません。macOSでライバルとなる、Microsoftは 子会社として Minecraftの開発元 MojangABや、そもそも自社として Xboxを保有しています。Appleは、過去にゲームで失敗している歴史もあり、ゲームを開発していません。
つまり、プラットフォームを提供しているものの、その中に コンテンツを自社投入できないということがあります。
この状態で、任天堂を買収したとします。
自社コンテンツとして、スーパーマリオや、ドンキーコングなどが加わります。これらのタイトルは日本・米国のみならず 世界中で愛されるタイトルです。
今どうなっている?
もちろん、あくまでこれらが憶測であるため、Appleも 任天堂もコメントを出していませんが、以下の憶測が広がっています。
任天堂にとってはマイナス
先述の通り、Appleには、自社コンテンツのゲームが誕生するメリットがありますが、任天堂にはメリットがあるのでしょうか。
任天堂は、近年 特にスーパーマリオランを登場させた 2016年以降 スマホゲームに注力しています。2017年には ポケモン Goが話題になりました。
任天堂にとって、Appleに買収により iOSプラットフォーム、特にiPhoneにゲームを供給することは非常にメリットになります。しかし、任天堂自体はもっと進出したい。つまり、Androidにも供給したいと考えてるはずです。
Androidにゲームを提供する際に、Appleによる買収は非常に足かせになります。Appleは、自社プラットフォーム内では強力ですが、他社プラットフォームに向けての進出は消極的です。私が知ってる中で、Appleが他社プラットフォームに進出しているのは、WindowsのiTunesとiCloud、AndroidのApple Musicくらい。実際にはiCloud.comでiCloudのメールや、iWorkを、Webプラットフォームにも提供はしています。また、Appleによる買収により、Appleプラットフォーム以外でのサービスを終了した例もあります。
もし買収が成立すると
もし、任天堂買収が成立するといろいろなことが起こります。
まず、AppleArcadeで、任天堂ゲームが遊べるようになります。これはiPhoneユーザーにとっていいニュースです。そして、Appleプラットフォームがどんどんゲームに強くなっていきます。Xboxを保有するMicrosoftのWindowsがゲーム分野では非常に先進していますが、macOSもそれに追いつくような形になると思われます。任天堂キャラクターのiPhoneケースなどがAppleStoreで販売されるかもしれません。
しかし、大きな問題があります。それはSwitchです。
Switchは、NintendoSwitchと、以下にも任天堂一社開発のように見えますが、米NVIDIA製のSoCを利用していたり、一部の仕様をNVIDIAが開発していたりと、実際には 任天堂とNVIDIAの共同開発という風になっています。
何が問題かというと、このNVIDIAです。近年、AppleがNVIDIAを嫌っている傾向にあります。macOSにNVIDIAドライバが入れられない(署名が取り消された)ことでMacのeGPUにGeForceやQuadroを入れられないことや、AppleがGPUにAMD製のみを使うようになったりということです。もし、このNVIDIA嫌いが実話となると、Switchの中には少なからずNVIDIAの特許が含まれている可能性が高いので、開発終了あるいは、販売終了になる可能性があります。