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【編集後記】i9-10900Kには7つのクロックの仕様がある ~複雑なIntelのブースト

錦です。

先日発売されたComet Lake-Sの最高峰 i9-10900Kですが、皆さんはi9-10900Kの仕様をじっくりみたでしょうか。

i9-10900Kは凄まじい仕様を持っています。おそらくOCなしでシングルクロックが5.3GHzに達することはご存知だと思います。i9-10900Kの仕様を振り返ってみましょう。

  • 10C20T
  • 3.7GHz ベースクロック
  • 5.1GHz シングルベースクロック
  • 5.2GHz Turbo Boost Max 3.0 Technology
  • 5.3GHz Thermal Velocity Boost
  • 4.8GHz 全コアブーストクロック
  • 4.9GHz 全コアThermal Velocity Boost
  • 3.3GHz cTDP 95Wクロック
  • 20MBキャッシュ
  • 125W TDP

GHzのオンパレードですね。普通、CPUのクロックって、内部仕様的には、電力等によってたくさん数値があるんですが、一般的に公表されるのは「ベースクロック」「ブーストクロック」「全コアブーストクロック」の3つです。しかし、i9-10900Kは、驚異の7つもあります。

追加された2つのブースト

Comet Lakeでは、2つのブーストクロックが追加されました。それが「Turbo Boost Max 3.0」と「Thermal Velocity Boost」です。従来のブーストクロックは、Turbo Boost 2.0 と呼ばれています。

Turbo Boost Max 3.0は、従来のターボブーストをより最適化されたものです。ブーストはそもそもどういうものかというと、もっとも負荷が集中するコアに処理能力を集中させ、そのコアのクロックを高めるというものです。Turbo Boost 2.0と、Turbo Boost Max 3.0の違いは、ブーストしているときの他のクロックの挙動です。Turbo Boost 2.0では、稼働するコア数が増えると、クロックの上限が下がりますが、Turbo Boost Max 3.0では、全コアに負荷をかけても、ブーストクロックは下がりません。ブーストクロックの100MHz高くなり、全コアブーストには現状は対応していません。

Thermal Velocity Boostは、温度に関わるブーストであることが名前からわかると思います。Thermal Velocity Boostは、第8世代のi9-8950HKから対応しているブーストの方法です。このブーストは、「50℃以下」で「電力に余裕がある」ときにシングルクロックで200MHz、全コアでは100MHzクロックを向上させます。

ブーストクロックは基本的に、TDPを突破していくクロックのため、冷却機構に依存します。とくにThermal Velocity Boostなんかは、50℃という、負荷時にはかなり厳しい条件があります。

設定されるcTDP

Comet Lake-Sの末尾Kシリーズは、125WというTDPを持っているため、従来の95Wに戻すことができるコンフィグラブルTDPダウンが設定されています。これは、クロックを下げることで、発熱や消費電力を下げるというものになっています。これは主にモバイル向けのSKUが1つの製品で幅広くカバーできるように最大3段階の消費電力を設定しているというものですが、これがK CPUにも採用されているということですね。


こんな感じで、多くなってしまったクロックの仕様は、新たに追加された2つのブーストの方法と、高くなってしまった消費電力の副産物であるということがわかります。

(あとがき)今回の記事は、特に意味はないです。