錦です。
Intelは、第11世代CPUの一部となる、Tiger Lakeを発表しました。
Tiger Lake
Tiger Lakeは、Ice Lake-U/Yの後継に当たるCPUシリーズで、Ice Lakeの10nmから改善された10nm SuperFinプロセスを用いて製造されています。
Ice Lakeではまだ製品シリーズにUやYという区別が残っていましたが、Tiger Lakeでは、それが完全に廃止されました。その代わりにUP3とUP4のようにわけられます。そして、区別の仕方が変わったことからわかるようにTDPの設定が大きく変わっています。これまでもコンフィグラブルTDP(以下 cTDP)によってTDPを調節することができましたが、Tiger Lakeではそれが常態化され、基本のTDPは設定されていないものになっているようで、これによって、デバイスのメーカーは製品の熱設計に合わせてCPUのTDPを変更できます。そして、cTDPについてもかなり柔軟に設定できるようになっており、UP3は12W~28W、UP4では7W~15Wのあいだで柔軟に設定できるようになりました。
これで若干ややこしくなるのは、同じCPUを採用していたとしても、製品によってはクロックがことなる可能性があることです。なので、今後は仕様をじっくり観察することが必要と見られます。
UP3 | コア | スレッド | ベースクロック | 1コアブーストクロック | 全コアブーストクロック | cTDP Up | cTDP Upクロック | cTDP Down | cTDP Downクロック | iGPU | EU数 | GPU最大クロック | キャッシュ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
i7-1185G7 | 4 | 8 | 3.0GHz | 4.8GHz | 4.3GHz | 28W | 3.0GHz | 12W | 1.2GHz | Iris Xe | 96 | 1.35GHz | 12MB |
i7-1165G7 | 4 | 8 | 2.8GHz | 4.7GHz | 4.1GHz | 28W | 2.8GHz | 12W | 1.2GHz | Iris Xe | 96 | 1.30GHz | 12MB |
i5-1135G7 | 4 | 8 | 2.4GHz | 4.2GHz | 3.8GHz | 28W | 2.4GHz | 12W | 0.9GHz | Iris Xe | 80 | 1.30GHz | 8MB |
i3-1115G4 | 2 | 4 | 3.0GHz | 4.1GHz | 4.1GHz | 28W | 3.0GHz | 12W | 1.7GHz | UHD | 48 | 1.25GHz | 6MB |
UP4 | コア | スレッド | ベースクロック | 1コアブーストクロック | 全コアブーストクロック | cTDP Up | cTDP Upクロック | cTDP Down | cTDPクロック | iGPU | EU数 | GPU最大クロック | キャッシュ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
i7-1160G7 | 4 | 8 | 1.2GHz | 4.4GHz | 3.6GHz | 15W | 2.1GHz | 7W | 0.9GHz | Iris Xe | 96 | 1.10GHz | 12MB |
i5-1130G7 | 4 | 8 | 1.1GHz | 4.0GHz | 3.4GHz | 15W | 1.8GHz | 7W | 0.8GHz | Iris Xe | 80 | 1.10GHz | 12MB |
i3-1100G4 | 2 | 4 | 1.8GHz | 3.9GHz | 3.9GHz | 15W | 2.5GHz | 7W | 1.5GHz | UHD | 48 | 1.10GHz | 6MB |
UP3とUP4では性能に関わる部分以外の仕様についても若干異なっています。
もう一度いいますがTiger Lakeでは、新たに10nm SuperFinプロセスを用いて製造されるWillow Coveコアが採用されます。これにより、Intel 10nmにあった4.1GHz制限は大きく緩和され、最上位のi7-1185G7ではシングルブーストクロックが最大4.8GHzに、全コアブーストでも4.3GHzに向上しています。IPCも大きく向上していることから性能向上に寄与している他、このプロセスでの電力効率は2倍になっているので省エネとなっています。
そしてGPUも進化しており、一部の製品にはIntel Iris Xe Graphicsが採用されています。ただし、今回の製品群ではXe GPUが搭載されるのは末尾G7のCPUに限られ、末尾G4の製品ではGen 11のIntel UHD Graphicsが引き続き採用されます。EU数は表を見ていただければわかると思いますが、EU数の最大値が64から96に増加しており、G7という中でも96と80という2つ存在していることも特筆すべき点です。また、GPUクロックもIntelのiGPUとしては高めに設定されています。解像度については8K60Hzの外部出力に対応しており、同時出力ディスプレイ数も3から4に増加しています。
メモリ仕様では、UP3ではLPDDR4x-4266に加えてDDR4-3200がサポートされるのに対して、UP4ではLPDDR4x-4266のサポートに限られます。最大容量についても、UP3が64GB、UP4が32GBになっています。
また、外部接続として、USB4とThunderbolt 4がネイティブでサポートされています。
搭載製品
搭載製品は今後、年末商戦機に向けて投入されます。Intelは、っすで絵に150以上の製品化が決定しているとのことで、ASUSやLGなどから搭載製品が登場する他、Samsungなどではすでに搭載製品がアナウンスされています。
また、Intel Evo platformを発表しました。これは、IntelのモダンPCの基準を示した「Project Athena」に対応した製品のプラットフォームです。Project Athenaはあくまで開発コードであるため、今回新たにマーケティング用の名称が用意されたことになります。
Source:PC Watch