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新型iPad Airに搭載されるApple A14 Bionicの正体

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錦です。

先日のスペシャルイベントで、iPad Air含む多くの製品が発表されました。今回は、iPad AirのSoC「Apple A14 Bionic」を見ていきたいと思います。

Apple Silicon第1世代

Apple Silicon第1世代というと語弊がありますが、Macに採用される可能性があるものという意味では第1世代となります。Apple A14に搭載される機能からApple Silicon Macがどうなるのかを予想したいただそれだけのことです。

iPadMac Bookシリーズでは、TouchIDがあります。これはそのデバイスでの唯一の生体認証となっており、Appleらしくかなり厳密に管理されています。基本的に、TouchIDの暗号化などもCPU内で処理を行うことが効率的には理想的ですが、CPUはサードパーティのソフトも利用するという側面、CPUとソフトどちらかに脆弱性があればTouchIDの管理さえもが危険にさらされてしまいます。TouchIDはデバイスのセキュリティをほぼ全て担っていますので、TouchIDを管理している機構に侵入されると困ります。そのため、Appleバイスではこの生体認証において独立した機構が備わっています。

Macではこれが非常にわかりやすいものになっていて、「Apple T2チップ」が生体認証の保護を担っています。一応ではありますが、現在のMacIntelからCPUの供給を受けており、CPU自体の開発には携わっていないため、CPUの内部にこの機構を設けることはできません。そのため、Apple T2チップというCPU外部チップでセキュリティを保っています。Apple T2では、SSD(ストレージ)の暗号化、安全な起動、デコーダや信号処理など、セキュリティ以外にも割と多くの役割をデバイスで担っており、特にデコーダなどの機能は、セキュリティ以外にもCPU・GPUの使用率を低下させるという利点があるため非常に便利です。

一方、iPad Airなどでは、Apple T2チップを搭載するスペースなどありません。ただし、SoC自体はAppleが設計しているものであるため、Apple A14内部にApple T2チップと同じ機構を備えています。これは、Apple A14同様にAppleが設計するApple Siliconでも内蔵されるものと考えており、Apple Silicon MacではApple T2チップは廃止になるか、別の機能を載せてApple T3チップになるものとみられます。

Apple A14はApple Siliconの先駆けとみられ、Apple Silicon第1世代はApple A14をベースに開発されていくものとみられます。そのため、Apple A14の仕様はおおよそApple Silicon、及びすでに登場を控えているであろうApple A14X Bionicと共通しているとみられます。変わるとすれば、クロックやコア数の違いでしょうが、実際にコアや内部機構・コントローラの類と、先ほどからお伝えしているようなセキュリティの機構はApple Siliconと共通しているのでしょう。

性能向上と効率

そして、Apple Aシリーズは毎度の性能向上が凄まじいことでも話題です。今回はAppleの公式の発表で、Apple A12 Bionicと比較し、40%のCPUコア性能の向上、30%のGPUコア性能の向上となっています。単純にA12からA13への性能向上はCPU・GPUともに20%ですので、CPU性能は単純計算で20%、GPUは10%向上しています(厳密にはもっと低め)。SoCだけで見ると、Apple A14の前世代はApple A13 Bionicになりますが、A13との比較がないのは、あくまでもiPad Air第3世代と第4世代の比較にとどまっているためです。Apple A13 Bionicは本稿執筆時点でiPhone 11シリーズとiPhone SEのみの搭載になっており、iPadシリーズでの採用例はありません。性能向上についての詳細は明かされておらず、IPCが向上したのか、クロックが向上したのか、その両方なのか、それはわかりません。

コア数は、高性能コア 2コア+高効率コア 4コアの計6コア、Apple独自GPU 4コアとなっており、コア数だけで見るとA13と変化ありませんので、やはり性能の向上はコア自体の性能向上と電力の効率化がすべてと見ていいでしょう。

製造プロセスには、新たに5nmプロセスが採用されており、密度が向上。トランジスタ数が118億となっており、Apple A13の85億から大きく増加しています。Apple A12Zはトランジスタ数が100億になっていますが、そもそものパッケージのサイズが違いますので、これはApple A13と比較したほうがわかりやすいでしょう。

勝手な推測ですが、Apple A14のアーキテクチャApple Siliconを完全に意識しているものと見られます。Apple A12Zでも十分macOSが動作し、Rosetta 2などで大方のソフトも問題なく動作している事がわかっていますが、やはり実用的に使うとなれば、動画編集やビルドのような重い処理にも耐えうる性能が必要です。そもそも、Apple A14の世代がApple Siliconなら、Apple A14のアーキテクチャはそのままApple Siliconにも採用されるということになります。ただ、Apple A12Zのように2世代前のアーキテクチャでもmacOSが動作しているところを見ると、素のApple A14でも問題ないような気もします。

ニューラルエンジン

そして、今回またまた性能が大きく向上したのはニューラルエンジンの部分です。Apple Aシリーズは数年前からニューラルエンジンの性能が異常に高くなっており、今回もApple A12と比較してかなり進化しているようです。

Apple A14でニューラルエンジンのコア数は、A12/A13の8コアから一気に16コアまで倍増。その上で、コア自体の性能の向上も実現されており、毎秒11兆回の演算性能を実現。これはApple A12の5兆回と比較しても2倍以上という凄まじい進化を見せています。ニューラルエンジンはそのまま、画像の加工などにも活用されているため、一般的な使い方をするユーザーとしても恩恵が受けられる機能にも進化しています。

その上で、第2世代MLアクセラレータも強化されており、A12と比較し10倍高速。これらの情報を見ても推論・機械学習というこれらの分野がかなり進化したと見て良さそうです。

オールインワン

Apple Siliconは、画像信号コントローラや前述のApple T2プロセッサのようなアクセラレータに、CPU・GPU・キャッシュとニューラルエンジンなどを統合したものになっています。Apple T2プロセッサの理念が、それまでバラバラだった各種コントローラの統合というのであれば、Apple Siliconはそれすらを統合したプロセッサになることは間違いありません。

とくに、Apple A14ではUSB TypeCのサポートが包括されていることがわかっていることから、おそらくA14内部のコントローラ部では、A13と比較してかなり本格的なインターフェイスがサポートされていると見ていいでしょう。少なくともA12Z並にインターフェイスをサポートしているはず。下手すれば、USB4やThunderbolt 4のような最新のハイエンドポート規格もサポートしているでしょう。

MacIntelベースから、Apple Siliconベースにすることで、Appleは必要なアクセラレータやコントローラ類を一つのパッケージにまとめることができ、かつパッケージにまとめると、遅延も少なくなり、バラバラに搭載するよりも消費電力は抑えられる。チップの構造は若干複雑になってしまうかもしれませんが、ハードの設計は簡素化でき、コストも下げることができます。やはり、Apple Silicon以降についてのハード面での問題は限りなく少ないと見ていいでしょう。

そして、ニューラルエンジンの強化は、Macにこれまで搭載されてこなかった、NPUという分野のアクセラレータを応用するためというのも、一因になっているのではないかと思います。AIを生かしてカメラの画質が向上し、作業が効率化する。実際、WindowsノートでニューラルエンジンやMLアクセラレータを搭載しているデバイスというのは10~15万円以上のdGPU搭載デバイスに限られてくるので、Appleがここでズバッと6~8万円台でMacBookを登場させれればかなり強みになりますし、Apple Siliconの標準になるのであれば、macOS自体の強みになります。個人的には、AIや機械学習を活用することで、作業の効率化だけでなく、デバイス自体の性能向上も果たせると考えているので、頑張って欲しいところです。