錦です。
今回は、Core i9-12900Kの話です。Raichu(@OneEaichu)氏がCore i9-12900KSのQS品のCinebench R20のスコアをリークしています。
12900KS QS Non-OC
— Raichu (@OneRaichu) 2021年7月20日
In water cooler.
Cinebench R20.
ST: >810
MT: >11600
i9-12900KSとかかれていますが、その後訂正されていたようでi9-12900Kだそう。
i9-12900K
まず、i9-12900Kの仕様を確認していきます。
i9-12900K含めAlder Lakeはシリーズ全体を通して、Golden CoveとGracemontで構成されるbig.LITTLE構成のような「Intel Hybrid Technology」を採用します。i9-12900Kはそれぞれを8コアずつ搭載した16コアを搭載します。スレッド数はGolden CoveのみHTTが有効なので、24スレッドと少し中途半端になります。
Intelは、高性能コア=Golden CoveのことをPコア、高効率コア=GracemontのことをEコアとよんでいます。
クロックですが、サンプル品なんであまり関係ないと思われるので割愛。
スコア
スコアを書き出すと、シングルスコアが810、マルチが11600とのこと。まず、guru3D.html)の図をもとにさくせいした、CPUのスコア図で差を見てみましょう。
図は、マルチスコア順にソートしています。i9-12900Kのスコアが一位に、そのつぎにRyzen 9 5950Xというふうに続いていきます。5950Xと12900Kのマルチの間には10%もの差があります。i9-11900Kと比べるとマルチの差は2倍ちかくにもなりました。
シングルも全体的に600台前半~中盤なのに対し800台と一気に向上。これは凄まじい。
それ以外で面白いのは、現行最新のCore Xの最上位であるi9-10980XEさえもを凌駕しているという点です。5950Xにも言えることですが、これらのCPUにはフルで性能が発揮されるCPUコアが18コアとか16コアとか搭載されているわけです。それに対して12900Kで性能が最大限発揮される(正確には性能が出る)コアは16コア中Pコアの8コアしかありません。ただし、このスコアはPコアのみで実現したものではないように見えるのでPE両コアを同時に活用したのではないでしょうか(詳細は後述)
消費電力はやばめ
12900Kはとりあえず、えげつない性能を持つIntel再起のCPUであるというような書き方をしましたが、IntelがAMDに負けている要因の一つが、12900Kの最大の欠点になっています。それは消費電力です。Raichu氏は、別ツイートでフルターボクロックで200Wを軽く上回る可能性があるとしています。
Please do not be happy too early.
— Raichu (@OneRaichu) 2021年7月20日
Power consumption will become one of biggest the questions.
It may be over 200W in full turbo frequency easily.
😅
実際に、i9-12900KのPL1/2の消費電力は明らかになっていて、PL1は125W、PL2は228Wにもなります。
i9-12900K | ||
---|---|---|
合計コア/スレッド | 16C/24T | |
P-Core | コア/スレッド | 8C/16T |
シングルブースト | 5.3GHz | |
全コアブースト | 5.0GHz | |
E-Core | コア/スレッド | 8c |
シングルブースト | 3.9GHz | |
全コアブースト | 3.7GHz | |
PL1 | 125W | |
PL2 | 228W | |
L3 Cache | 30MB |
P/Eコア
で、Alder Lakeの最大の特徴である、Hybrid Technologyですが、先行してこの技術を採用しているLakefieldでは、タスクが負荷や優先順位によって割り振られているということになっていました。おそらく、Alder lakeでもそれは行われると言うか、それがメインの利点であることに間違いはありません。ただし、この説明だと「PコアとEコアはそれぞれ独立している」というような表現になります。
PコアとEコアはアーキテクチャが違うことから命令セットも異なり、共同でタスクをこなすということについては、実現できたとしてもかなり制限があるように見えます。無論、Core系統のほうがサポートしている命令セット数の数が多いので、Gracemontがネックになります。
これが実現しているということを踏まえるとGracemontにおいてもGolden Cove並の命令セットのサポートがあるか(おそらく完全には対応しないだろうが)、Gracemontで新たにサポートされた命令セットが偶然にもCinebenchと相性が良かったかのどちらかになります。ただCinebench R20はAVXを使っているらしいので、今回の情報が正しければ、GracemontはAVXをサポートしていることになります。
Gracemontがえげつない
今回のリークとは少し離れてGracemontの話をすると、今回、Gracemontが割といい仕様でやってくるということになっています。今回のAVXの話もそうですが、8コア8スレッドで、全コアブーストクロックが3.7GHzにも上ります。そもそもAtom系統ではブーストクロックがなかったのでGracemontはかなりパワーアップして登場することになります。
Alder Lakeの登場によってGolden Coveに仕様を合わせるだけの措置なのかもしれませんが、個人的にGracemontとして登場する製品たち。Jasper Lakeの後継に個人的には期待しています。