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Core i9-12900Kの話 ~ サンプルがCinebenchのスコアでRyzen 9 5950Xを割と大きめの差で上回る

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錦です。

今回は、Core i9-12900Kの話です。Raichu(@OneEaichu)氏がCore i9-12900KSのQS品のCinebench R20のスコアをリークしています。

i9-12900KSとかかれていますが、その後訂正されていたようでi9-12900Kだそう。

i9-12900K

まず、i9-12900Kの仕様を確認していきます。

i9-12900K含めAlder Lakeはシリーズ全体を通して、Golden CoveとGracemontで構成されるbig.LITTLE構成のような「Intel Hybrid Technology」を採用します。i9-12900Kはそれぞれを8コアずつ搭載した16コアを搭載します。スレッド数はGolden CoveのみHTTが有効なので、24スレッドと少し中途半端になります。

Intelは、高性能コア=Golden CoveのことをPコア、高効率コア=GracemontのことをEコアとよんでいます。

クロックですが、サンプル品なんであまり関係ないと思われるので割愛。

スコア

スコアを書き出すと、シングルスコアが810、マルチが11600とのこと。まず、guru3D.html)の図をもとにさくせいした、CPUのスコア図で差を見てみましょう。

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近似値を取るCPUのスコア(参考:guru3D.html))

図は、マルチスコア順にソートしています。i9-12900Kのスコアが一位に、そのつぎにRyzen 9 5950Xというふうに続いていきます。5950Xと12900Kのマルチの間には10%もの差があります。i9-11900Kと比べるとマルチの差は2倍ちかくにもなりました。

シングルも全体的に600台前半~中盤なのに対し800台と一気に向上。これは凄まじい。

それ以外で面白いのは、現行最新のCore Xの最上位であるi9-10980XEさえもを凌駕しているという点です。5950Xにも言えることですが、これらのCPUにはフルで性能が発揮されるCPUコアが18コアとか16コアとか搭載されているわけです。それに対して12900Kで性能が最大限発揮される(正確には性能が出る)コアは16コア中Pコアの8コアしかありません。ただし、このスコアはPコアのみで実現したものではないように見えるのでPE両コアを同時に活用したのではないでしょうか(詳細は後述)

消費電力はやばめ

12900Kはとりあえず、えげつない性能を持つIntel再起のCPUであるというような書き方をしましたが、IntelAMDに負けている要因の一つが、12900Kの最大の欠点になっています。それは消費電力です。Raichu氏は、別ツイートでフルターボクロックで200Wを軽く上回る可能性があるとしています。

実際に、i9-12900KのPL1/2の消費電力は明らかになっていて、PL1は125W、PL2は228Wにもなります。

  i9-12900K
合計コア/スレッド 16C/24T
P-Core コア/スレッド 8C/16T
シングルブースト 5.3GHz
全コアブースト 5.0GHz
E-Core コア/スレッド 8c
シングルブースト 3.9GHz
全コアブースト 3.7GHz
PL1 125W
PL2 228W
L3 Cache 30MB

P/Eコア

で、Alder Lakeの最大の特徴である、Hybrid Technologyですが、先行してこの技術を採用しているLakefieldでは、タスクが負荷や優先順位によって割り振られているということになっていました。おそらく、Alder lakeでもそれは行われると言うか、それがメインの利点であることに間違いはありません。ただし、この説明だと「PコアとEコアはそれぞれ独立している」というような表現になります。

PコアとEコアはアーキテクチャが違うことから命令セットも異なり、共同でタスクをこなすということについては、実現できたとしてもかなり制限があるように見えます。無論、Core系統のほうがサポートしている命令セット数の数が多いので、Gracemontがネックになります。

これが実現しているということを踏まえるとGracemontにおいてもGolden Cove並の命令セットのサポートがあるか(おそらく完全には対応しないだろうが)、Gracemontで新たにサポートされた命令セットが偶然にもCinebenchと相性が良かったかのどちらかになります。ただCinebench R20はAVXを使っているらしいので、今回の情報が正しければ、GracemontはAVXをサポートしていることになります。

Gracemontがえげつない

今回のリークとは少し離れてGracemontの話をすると、今回、Gracemontが割といい仕様でやってくるということになっています。今回のAVXの話もそうですが、8コア8スレッドで、全コアブーストクロックが3.7GHzにも上ります。そもそもAtom系統ではブーストクロックがなかったのでGracemontはかなりパワーアップして登場することになります。

Alder Lakeの登場によってGolden Coveに仕様を合わせるだけの措置なのかもしれませんが、個人的にGracemontとして登場する製品たち。Jasper Lakeの後継に個人的には期待しています。

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