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GeFocce RTX 40シリーズの話 ~ TSMC 5nmプロセスで製造・Lovelaceはミドルレンジ以下用・登場時期など

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錦です。

VideoCardzがここ数日~数ヶ月間に出ているGeForce RTX 40シリーズのリークをまとめているので取り上げます。

長いのでまた「まとめ」を作りました。時間がない方はそちらへ。

RTX 40シリーズ

GeForce RTX 40シリーズはAda Lovelaceベースで登場するRTX 30シリーズの後継となるシリーズになるものです。

アーキテクチャはAmpereのように研究機関用と共用するのではなく、Turing/Volta世代のように別れます。

2016 2018 2020 2022
GPGPU Pascal Volta Ampere Hopper
Consumer Turing Ada Lovelace

Ada Lovelaceはゲーマー及びコンシューマ向けとなり、同世代のHopperは研究機関向けとなります。Hopperのほうがハイエンドです。

Ada Lovelaceは完成?

Greymon55氏のツイートを見ます。

このツイートから、Ada lovelace自体は既に完成しているそうです。具体的にテープアウトしているということかどうかはわかりませんが、少なくとも仕様はもう既に定まっているということみたいです。正しければの話ですが。

TSMC 5nmで製造

そして、このツイートについたリプライに同氏が返信した内容から、TSMC 5nmプロセスで製造される可能性があることもわかりました。

同氏は100% TSMC 5nmで製造されると、強い確信を持っています。ただしそれがN5プロセスなのかN5Pプロセスなのかはわからないとしています。

N5プロセスは、現在Apple M1などに用いられているプロセスルールとなっていて、N5Pはその改良版です。Apple A15チップで採用が期待されているプロセスですが、N5PはN5に比べて電力効率が5-10%向上しています。ただ、どちらにせよSamsungではなくTSMCに製造を依頼するということになります。

2022年末くらいには5nmも落ち着いている頃でしょうか。ある程度生産能力も拡張されるでしょうし。ただ、同じ時期にAMDRyzen 7000番台でTSMC 5nmを使うみたいな話がでていますけども・・・。

ここ数世代のアーキテクチャとプロセスルールの変遷をまとめました。

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アーキテクチャとプロセスの変遷

一部にはHopperが?

数ヶ月前に出ていたリークです。Nishiki-Hubでは取り上げていなかったものを取り上げていきます。

こちらはkopite7kimi氏の5月23日にツイートされたツイート。なので、若干変更があるかもしれませんが、これを否定する主要なリークも出ていません。この時点では5nmになることはわかっていてもSamsungTSMCかのどちらかがわかりませんでした。

概要的な話からすると、Ada Lovelaceはモノリシックダイ、つまりこれまで同様一つのGPUダイのみのパッケージになります。一方で、Hopperはマルチチップレット構成を取り、GPUダイを複数搭載するパッケージになります。

それを踏まえて、上のツイートの項目2つ目と下のツイートをまとめていきます。

まず、kopite7kimi氏の1つ目のツイートから「AD102」と「GH202」という2つのGPUが登場しました。前者はAda Lovelace、後者はHopperです。

実は、この5月位にAda Lovelaceと比べて競合となるAMDの次期GPU RDNA 3のほうが性能がいいという話が一瞬出てきました。といっても、そもそもここ数年GPUの進化が毎回倍々ゲームのごとく向上しているため、Ada Lovelaceの性能向上比も異常です。ただ、それを上回るのがRDNA 3です。Wccftechによれば、Ampere「GA102(RTX 3090/80)」と比べて、AD102が2.2倍、RDNA 3のNavi31が2.5倍となっているそうです。では、Hopperは一体どこに位置しているのかと言うと、GH202はNavi31よりも大幅に性能が向上した3倍になっています(なんで1世代で性能が3倍になるんだよ)。

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出典:Wccftech

話を戻します。Ada Lovelaceに比べてRDNA 3のほうが性能がいいということは、じつはAda Lovelaceがそれほど性能が上がらないのではないかということになります。kopite7kimi氏の2つ目のツイートの「モノリシック構成で十分な性能を持っていれば、AD102を搭載するが、そうでなければそうではない」というところを見ると、ゲーミング向けHopperはGA102の後継(RTX 4090/4080)くらいのハイエンドのGPUはもしかしたらAda LovelaceではなくマルチチップレットのHopperになるのでしょう。

ここから導き出される答えは、そもそもLovelaceはハイエンドに向けてリリースされず、ローエンドからミドルレンジ向けになるということです(次章2項参照)。ちなみに、GA102は18,432 CUDAコアと144 SMを搭載している言われています。これでミドルになるんですか。

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書き直してみる。

あと、HopperのGPUの付番方法が若干気になってて、Ada LovelaceはADで、HopperがGHなのはわかるんですが、「GH200」200番台になっているところが少し興味深いですね。普通「GH102」みたいになるはずなんですが。これはおそらくGH100番台が研究機関向け、GH200番台がコンシューマー向けになるのかなと。

ちなみに、基本的にコンシュマー向けGPUよりも研究機関向けGPUのほうが製造コストその他諸々が高くつくので、AmpereのようにHopperですべてのグレードをカバーできるわけではないです。というか、今は研究機関向けGPUとコンシューマー向けのミドルグレードのGPUアーキテクチャを統一してしまうと、またマイニング騒ぎになりかねないので分けたいでしょうね*1

Orinの話

Moor's Low Is Deadの動画から。重要なのは6:21から。

「Orin」というのはSwitchにも搭載されたNVIDIAのSoC Tegra X1「Mariko」の後継となるSoCで、次期Switchにも搭載が噂されているSoCです。

この「Orin」、CPU部分はArmのCPUになるんですが、GPU部分にはAda Lovelaceを搭載するとされています。Orin自体は一番はじめにAmpere GPUを搭載すると発表されていましたが、それが変更になったようです。そもそも「Orin」は自動車の自動運転向けチップとなっており、それをSoCに転換するということになっています。なのでこの話は自動運転の話も追っていきつつ詳細を見守っていきます。

SwitchにOrinが搭載されるという部分は既出の話でそれを裏付ける内容でもあります。

Hopperがメイン

Moor's Law Is Deadのそれをみると、Lovelaceはミドルレンジ向けのアーキテクチャであり、実際ハイエンドを担うのはHopperだということです。スライドによると、AMDはRDNA 3の競合相手をLovelaceではなくHopperとよんでいるとしており、研究用としてリリースされるはずのHopperは実はゲーミング向けのバリエーションがある程度存在するということになります。

登場時期

今回登場したリーク全体的に合致している点が、登場時期。登場時期については2022年の末であるということです。

RTX 30シリーズはもうほぼラインナップが完成しており、1年間はなにもGPUが出ないのかと言われるとそういうわけではなく、RTX 30とRTX 40のつなぎとして、Ampereを改良した「Ampere Refresh」とも思える(勝手に読んでいるだけ)、RTX 30 Superシリーズが登場すると言われています。

まとめ

ちょっと今回のあれは長いので最後に要点をまとめましょう。

  • GeForce RTX 40シリーズはAda Lovelace世代となる予定である(過去形)
  • Ada Lovelaceは既に完成(仕様が既に定まっている)
  • Ada LovelaceはTSMC 5nmで製造される(おそらくHopperも)
  • Ada Lovelace(AD102)は性能でRDNA 3(Navi31)を下回る。Hopper(GH202)は上回る。
  • Ada Lovelaceはミドルレンジ以下向けで、Hopperはゲーミング向けにも提供される
  • 次期Tegra「Orin」にはGPUとしてAda Lovelaceが採用される
  • AMDNVIDIAの次期GPUについて「Ada Lovelace」より「Hopper」を危険視している

こういう感じです。多分これがGeForce RTX 40シリーズの既出リークの全てなんじゃないでしょうか。無論、DLSSやRTXのような機能も対応するはずです。

関連リンク

*1:用途をゲーミングに限ると実はマイニング性能はそこまで高い性能を発揮しないことをRDNA 2が実証済み。Ampere見たく幅広い用途に対応したVegaでは高いマイニング性能が発揮されしまった。全く注目されなかったが