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東京オリンピックの8K放送の技術が公開 ~ Intelが全面協力し112コアサーバーなどの技術を提供 その概要が明らかに

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出典:Intel

錦です。

東京オリンピックで初めて導入された試みとして8K60FPS HDRでの放送というのがあります。MyDrivers.comによると五輪のワールドワイドパートナーであるIntelがその技術を明らかにしたことがわかりました。

8K 60FPS HDR放送

実際に、8K 60FPS HDRで生中継されたのは、日本国内向けのみで、NHKのみとなっています。他の民放や他国の放送局は最大4Kでの放送となっていました。

この8K放送は、オリンピックのワールドワイドパートナーであるIntelのバックボーンにより行われました。今回は、Intelがその技術について明らかにしましたので、それを見ていきます。

流れ

8K放送の流れというのは、簡単に説明すると 撮影>圧縮(エンコード)>放送>解凍(デコード)・視聴という流れで、これがワンストップで行うことができました。

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出典:MyDrivers

使われた映像形式と機材

オリンピックの8K撮影には、Sonyの「CineAlta F65」が使われたそう。こちらのカメラは、水平画素8KのCMOSイメージセンサが搭載されているシネマカメラで、仕様的に4K撮影向けのカメラなんですが、どうもイメージセンサをフルで使ってるみたいで(そんなことできるんだ)。

撮影時点でも映像は、非圧縮の8K 60FPS HDRとなっており、10-bitカラーで4:2:2クロマサブサンプリングの状態でエンコードサーバーに送られます。

カメラ>エンコードサーバーの接続には、12G-SDIが4本使われ、計48GB/sの帯域で転送されました。

エンコードサーバー

エンコードサーバーは、Intelが用意した超高性能サーバーです。

このサーバーは、Xeon Platium 8380Hを4ソケット使用したサーバーとなっています。このCPUは、第3世代スケーラブルプロセッサの一部である「Cooper Lake-SP」の最上位であり、1ソケットあたり28コア56スレッドのコア数を持ちます。つまり、こjのサーバーは112コア224スレッドで動作しているということです。Cooper Lakeは用途が限られると言われていましたが、今回のような大規模なサーバーならIce LakeよりもCooper Lake-SPのほうが有利です。

メモリは、384GBのDDR4。メモリの仕様については明かされていませんが、Cooper Lakeの仕様からして、DDR4-3200 ECCなのでしょう。6チャネル12レーンをフルで使ったとを考えると、1つのDIMMあたり32GBになりますね。

ストレージは、480GBのIntel Optane 900P。このサーバーに映像を保管するわけではなく、このサーバーはあくまで「エンコードサーバー」であるためそこまでのストレージ容量はいらないという判断でしょう。P900のリード速度は最大2.5GB/s、ライト速度は最大2.0GB/sらしいです。

OSはUbuntu 20.04.2。

エンコードソフト

エンコードソフトにはSpin Digital社製の「Spin Enc Live」が用いられました。このソフトは、リアルタイムで12K30FPSや8K60FPSの映像をAAC(音声)やHEVC(映像)に圧縮することができるソフトウェアで、放送などに用いられているソフトウェアらしいです。このソフト112コアCPUで、8Kの映像を1秒間に約90フレーム、ほぼ0%のビットレートの増加で圧縮できるという優れものらしいです。

どうやらこのサーバー、GPUが搭載されていないみたいで、すべてがCPUによる処理。Spin Enc Live自体がどのハードウェア・ソフトウェアエンコードよりも速いと自負している通り、NVENCよりも2倍くらい性能がいいんですよね。

エンコード

で、そのエンコードサーバーでは、非圧縮8K 60FPS 10-bit HDR 4:2:2を、HEVC 4:2:0にエンコードして配信します。配信方法は、HLSとRTPが用いられ、インターネットサーバーにストリーミングされました。

転送~放送

エンコードされた映像は、オープンインターネットクラウドサービス。まあ単に、ストリーミングサーバーとかに送られることになります。そして、ストリーミングサーバーなどを経由して放送・配信されることになります。

そのエンコードサーバー - クラウド(ストリーミングサーバー) - 受信元 間の転送には、YouTubeなどでも用いられている一般的なインターネットのストリーミングの規格であるHLSやRTPが用いられます。あんまり、この図には詳しいことは書かれてませんけど、これをストリーミングするのって多分NHKだけなんですよね。

で、NHKエンコードされた映像をBS 8Kの電波に乗せて放送する。という流れになります。

ちなみに、8Kのデコード・プレイPCには、18コアのXeon W-2295、64GB RAM、1TB Intel SSD 6シリーズなどが、推奨として挙げられています(が、視聴者から見れば8Kテレビで見ることになるし、基本的にはあまり関係のない話です)。

まとめ

文章ばっかだと伝わりにくいかもしれないので、一枚の画像にするとこんな感じ

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一連の流れ

わりと調べてて面白いなぁと思ったのでまとめました。今回新しく導入された8K放送ですが、実際に8K放送の恩恵を享受できるのは限られており、今回の放送については、世界に向けたIntelの技術のプレビューという側面が大きいようです。

特に、今回の流れの中で、インターネット回線を使っている場面もあるので、今回の技術を応用すれば、日本に限らず世界中に8K HDR 60FPSの映像はライブで配信できるはずなので、今後の発展に期待が高まります。

関連リンク・参考・出典