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Intel、Alder Lakeについての開発者向けの情報を公開 ~ Pコア/Eコアともに機能は同じ

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錦です。

Intelは、第12世代Alder Lakeについて、開発者向けの情報を公開しました。

Alder Lake

Alder LakeはIntelのメインストリームのラインナップとして初めて高効率コアと高性能コアの2つのアーキテクチャが同梱されるパッケージとして提供されるラインナップです。そのため、開発者に対してのドキュメントもかなり満載に伝えられています。

Alder Lakeについて、かんたんに説明しておくと、多くのArm SoCのように高性能コアと高効率コアを両方搭載している「big.LITTLE」のようなコア構成を採用しています。高性能コアに当たるものをIntelはPコアと読んでおり、Alder Lakeでは「Golden Cove」というアーキテクチャを採用しています。Golden Coveは、Rocket Lakeの「Cypress Cove」、Tiger Lakeの「Willow Cove」の純粋な後継です。一方、高効率コアに当たるものをIntelはEコアと読んでおり、Alder Lakeでは「Gracemont」というアーキテクチャを採用します。GracemontはLakefieldの「Tremont」の実質的な後継です。Cove系は基本的にCore系統の流れを汲んでおり、mont系はAtom系統の流れを汲んでいます。

Alder Lakeについて、以前行われたIntelの公式発表は以下のエントリをご参照ください。

Intel、第12世代Alder LakeのCPUコアの詳細について発表 - Nishiki-Hub

キャッシュ

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キャッシュ(出典:Intel

まずはキャッシュについて。Intelから以前発表されたようにL1キャッシュはこれまで通りコアごとに持ちますが、L2キャッシュが若干複雑です。と言っても、Pコアは1コアごとにL2キャッシュを持っているけど、Eコアは4コア毎に共有しているというだけなんですが。

L3キャッシュ(LLC)はすべてのコアが共有します。

命令セット

Alder Lakeは2つの異なるアーキテクチャを持つCPUを1つのCPUとして扱う関係で、命令セットにも若干の変更が加えられます。

Alder Lakeでは命令セットについて、すべてのコアが同じ命令セットを持っています。つまり、PコアとEコアでサポートする命令セットに差がないということです。そもそも、Core系統に比べてAtom系統のCPUがサポートする命令セットの数は圧倒的に少なく、Alder Lakeに向けてGracemontも大幅にサポートされる命令セットの数が増加しました。

もっと詳細なことを伝えると、Alder Lakeでは、Golden CoveとGracemontでサポートする命令セットを揃えるために、Gracemontがサポートする命令セットの数を大幅に増やしました。しかし、Golden Coveのそれには追いつくことが出来ず、結局Golden Cove自体も無効化せざるを得ない命令セットがいくつかあります。その代表例がAVX-512ですが。

Alder LakeにはEコアを搭載しない、Core系統Pコアだけで構成されたSKUがありますが、この場合においても、無効化された命令セットは有効にはなりません。これは、Alder Lakeで命令セットを揃えるためだと見られます。

因みに、今回発表された中身には「AVX-512はOEMが有効化するか決められる」という文言が書かれていますが、間違いであることが確認されています。

プログラムとコア割当

プログラミングの観点から見たとき、PコアとEコアの機能は同じであり、これら2つが異なるのは性能と効率のみです。

Alder LakeではOSのスケジューラとCPU側のスケジューラが相互作用することで、コアの割当を最適化します。実際にWindows 10よりもWindows 11のほうがAlder Lakeがより効率的に動作する可能性があります。

ラインナップ

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ラインナップ(出典:Intel

技術的な話はここで一旦終わり。ここからはラインナップの話になります。

Alder Lakeの大まかなラインナップはデスクトップ向けの「Alder Lake-S」、末尾U/Hの後継となる「Alder Lake-P」です。正式に発表はされていませんが、これに末尾Yの後継となる「Alder Lake-M」が加わり3つのラインナップが揃います。

命令セットの部分でも触れましたが、一部のSKUにはPコアのみを備えるものがあります。

デスクトップ向けラインナップのiGPUのEU数はRocket Lake同様「一応ついてるGPU」感漂う32EU、対して、ADL-Pは「普通に使えるGPU」の96EU搭載しています。これはRocket Lakeから変わらずです。

今月末登場

Alder Lakeの第一弾のリリースとなる、Alder Lake-Sの末尾K/KFモデルとIntel Z690チップセットは今月末に行われるIntelの発表会で発表されると見られており、発売は11月4日になると見られています。

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