錦です。ちょっと今週多忙でCESの情報が遅れ気味ですがなんとか更新します。
AMDはCESの基調講演にて、Zen 4を採用する「Ryzen 7000」シリーズの存在と、それが採用するAM5ソケットを発表しました。
Ryzen 7000
Ryzen 7000は前述の通り5nmで製造されるCPUラインナップです。一応デスクトップ向けの存在が今回明らかになりました。
特にSKUのラインナップやその仕様が明かされることはありませんでしたが、発表された内容を話してそれについてお話していきます。
5nmで製造
今回明かされた内容として、5nmで製造されるということです。Ryzen 3000番台までは順調にプロセスルールを更新していたRyzenですが、Zen 3世代で一度足踏みしました。実際には、Zen 2からZen 3にアップデートするにあたって大幅にアーキテクチャが改良されたことにより、性能はグンと上がったわけですが。
なので、今回の微細化は2世代ぶりとなります。
おそらく、TSMC 5nmを利用して製造されると見られますが、すでにTSMC 5nmはAppleが使っているほか、Qualcommも使っていると見られています。AMDがどの5nmを使うかはわかりませんが、一番最初のN5プロセスを採用しているApple A14が登場してからすでに1年4ヶ月程度は経過しており、Ryzen 7000が登場する今年後半には2年経過していることからある程度成熟し、製造ラインもかなり強化されていることが予想されますので問題ないとは思いますが、TSMC 5nmについては若干の懸念点もあります。
まず、TSMC 5nmの採用例が多いことです。これは毎度のことですが、ただこの需要逼迫の中で一つのプロセスに製品が集中するのは怖い部分もあります。実際、今年後半までTSMC 5nmで製造が続いている可能性がある半導体は以下のとおりです。
- Apple M1
- Apple M1 Pro/M1 Max
- Mac Pro用のSoC
- Apple A14
- Apple A15
- AMD Radeon 7000(RDNA 3)
- AMD Ryzen 7000(Zen 4)
- NVIDIA Hopper GPU
- NVIDIA GeForce RTX 40番台
- Snapdragon 888
- Intel GPUの一部コンポーネント
MediaTekの話正直良く調べてないのでわかりませんが、これらのし上でも重要度の高い製品が一つのプロセスに集中することが考えられます。特に、GeForce RTX 40番台は登場時期も重なることが心配で、いくら増強されたとしてもAMDにどれくらいの製造容量が割かれるかは不明。ただ、TSMCの対応を見る限りAppleほど多くはなくてもNVIDIAよりかは多く割り当てられそうですが。
Ryzen 7000番台の供給については、これまで以上にTSMCの判断次第となりそうです。
ソケット
そして今回、デスクトップ向けRyzen史上初めてCPUソケットが変更になります。これまではSocket-AM4を使い続けてきたRyzenですが、Ryzen 7000番台ではAM5に変更。これによりRyzen 5000番台以下のCPUとは一切の互換性がなくなります。
ソケットの形式は、AM4のようなCPU/APU側にピンがあるPGAタイプでしたが、AM5はIntelやThreadripper と同様にピンがソケット側にあるLGAタイプ。ピンの数は1718ピン、つまりLGA-1718となります。IntelがLGA-1700なのでわかりづらいですが、AMDの方は基本的にAM5というので混同はないでしょう。
接続
Lisa Su CEOは、Zen 4について「次世代メモリと次世代コネクティビティに対応する」という旨の発言をしていました。次世代メモリとは言うまでもなくDDR5のことを指しています。IntelがAlder Lake-Sで採用していますのでAMDは1年遅れでの対応になります。ただ今の所Alder LakeのようにDDR4のサポートを続けるという旨の確認は取れていないので、これはわからずじまい。ただ、Ryzen 6000 APUがDDR4/LPDDR4xをサポートしていないところを見ると、RyzenでもDDR4の互換性を保たない可能性が高く、この部分はしばらく様子見といった感じでしょうか(ただ、今年後半にはいまよりもDDR5が手に入りやすくなってるんじゃないかとも思いますが)。
そして次世代のコネクティビティとは、PCIe 5.0です。こちらもAlder Lakeがすでにサポートしていますので一年遅れになります。どれくらいのレーンをサポートしてくるかはわかりません。IntelはCPUから16レーンサポートしています。AMDがIntelより先に対応したPCIe 4.0については、AMDはCPUから20レーン対応していました。
規格が成熟している事も考えると、Ryzen 7000では20レーンのPCIe 5.0をサポートしている可能性が高く、GPUとNVMe SSDで使えるのではないかと思います。