錦です。
Bloombergの報道によると、NVIDIAがArmホールディングスの買収について断念を検討し、その準備を進めていることがわかりました。
Armの買収
Armは2016年に日本最大のM&Aとしてソフトバンクが3.3兆円で買収した半導体関連企業(ファブレス企業)です。主な事業は自社で開発したArmアーキテクチャを中心とする技術をAppleやSamsungなどにライセンスするというもので、携帯電話にはほぼ確実にArmアーキテクチャをベースにした半導体が搭載されています(Apple AチップやApple M、Snapdragonn、MS SQなど)。
2020年にNVIDIAはソフトバンクから4.2兆円でArmを買収することを発表していましたが、これに対して、英国が反発、結局Armの所有者であるソフトバンクが本社を置く日本、NVIDIAの本社がある米国、Armの本社がある英国という、日米英が慎重に協議を進めていました。
ただし、政府などからこの買収案については、反発が多くあったとのことで、NVIDIAはそれを持って買収を断念したとのこと。主な反発でいうと、前述の英国が反発、そして昨年12月には米国が取引停止を要請、そして中国も反発するなど、かなり世界的な政府から反発の声が上がりました。
ちなみに、NVIDIAもTegraやGrace(開発コード)というArmベースのプロセッサを開発しているArmの取引先の一つです。 また、NVIDIAはTSMCについで世界第2位の時価総額を持つ半導体メーカーでもあります(Apple/Google/MSを半導体メーカーと数えない場合)。
断念
報道によると、NVIDIAがArmの買収を断念する準備を進めているとのこと。ただし、現時点で関係するソフトバンク・NVIDIA・Arm三者ともに買収の断念を公式には発表しておらず、現在も買収に向けた取り組みは進んでいるとのことです(が買収成立はかなりのぞみ薄になってきました)。
もし断念するとNVIDIAは12.5億ドル(約1,423億円)損失すると見られています。
また、Armの買収が前提で進められていたGrace CPUについても先行きがやや不透明な状態になりました。
Armの今後
ソフトバンクの関係者は今後Armを新規株式公開(IPO)することをのぞんでいるとのこと。個人的にはRISC-Vなどの台頭次第では、Armが株式公開したところで感がありますし、今ArmをIPOして誰かに過半数株式を取得されたとするとかなりまずいことにもなりかねないので、ソフトバンクがそのまま保有してくれればいいのになぁと思ってたりもします。
Arm自体が若干価値を落としているみたいで、できればこの勝ちがあるタイミングでソフトバンクとしてはIPOしたいでしょうし。多分いまIPOしても大型株式になることは間違いありません。