錦です。
NVIDIAとソフトバンクグループ、Armホールディングスの三者は、NVIDIAによるArmホールディングスの買収を正式に断念したことを明らかにしました。
Arm
Armは2016年に日本最大のM&Aとしてソフトバンクが3.3兆円で買収した半導体関連企業(ファブレス企業)です。主な事業は自社で開発したArmアーキテクチャを中心とする技術をAppleやSamsungなどにライセンスするというもので、携帯電話にはほぼ確実にArmアーキテクチャをベースにした半導体が搭載されています(Apple AチップやApple M、Snapdragonn、MS SQなど)。
Armの買収
Armは、前述の通り2016年にソフトバンクグループ(SBG)が買収しましたが、その後2020年にNVIDIAがソフトバンクからArmホールディングスを4.2兆円で買収することで合意していました。しかし、その後、日英米中の当局がこの買収に対して調査を行い、各政府が反発したため、この買収が成立しませんでした。
ソフトバンクのリリースには「両社は、取引完了のために誠意を持って取り組んできましたが、これを阻む規制上の大きな課題があったため、契約の解消に至りました。」と書かれています。
Armの今後
SBGは今後、Armの株式公開を計画していて、2023年3月期(2022年度第4四半期)の上場を果たすための準備に入るとしています。
なお、NVIDIAがSBGに対してArm買収のために支払った12.5億米ドルはSBGがこのまま保持し、同社の2021年度第4四半期(今期)の利益に計上されます。一方NVIDIAは、今後20年間のArmライセンスを保持します。
レネ・ハース氏がCEOに
現在、Armの最高経営責任者(CEO)には1991年に入社したサイモン・シガース氏が2013年から努めていますが、同氏は取締役及びCEOを退任し、後任として半導体業界で35年の実績を有するレネ・ハース氏が同社CEO及び取締役に就任し新規株式公開を主導します。
ハー氏は2013年にArmに入社し、以前はNVIDIAに7年努めた経歴を持ちます。
前CEOのシガース氏は、同社顧問に就任します。
Graceが微妙かも
NVIDIAのCPUとして「Grace」が2023年に計画されています。一部の情報では、Armの買収を前提にしていたとの話もあり、これが微妙かもしれない・・・。ただ、MicrosoftとかQualcommとかの企業は今回の発表に安心したのかもしれませんね。