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TSMC 3nmが今年年内に生産を開始 〜 「N3E」が来年に大量生産へ、2025年に2nmが登場の計画であると発表

錦です。先週木曜〜金曜に登場したTSMCの情報をまとめます。

TSMCは、2022年代1四半期の決算発表において、いくつかの予定を投資家と共有しました。また、その前後でプロセスについての情報がいくつか登場しました。

3nmプロセス

まずは、TSMC 3nmの話から。TSMCは3nm世代のプロセスについて、N3/N3E/N3Bを開発していると見られています。

N3

MacRumorsが伝えたDigiTimesによると、TSMCはN3の量産体制を整え、今年後半から量産が始まる事がわかりました。

そして、mynaviのTech+がその後決算発表にて、CEOのC.C.Wei氏が今年後半から量産を開始すると発表していると伝えています。

Wei氏は、N3プロセスがHPCとスマートフォン向けのプロセスノードであるとしており、個人的な予想ですが主な取引先としてはAppleIntelが考えられます。同社は、3nm(N3)を2022年内に製造を開始すると昨年の時点で明言しており、予定通りに進んでいることがわかります。


さすがに今年のApple製品やAMDIntel製品に3nmは採用されず、Appleがせいぜい4nmを採用するにとどまるでしょうが、来年登場のApple A17やM3ではこのN3プロセスを採用する可能性が高いです。

Intelでの採用例はやはり、タイル型となったあと(Meteor Lake以降)のCompute以外のタイル。IntelIDM 2.0戦略で外部ファブを積極的に活用していくことを明らかにしているので、これがTSMCなのでしょう。ちなみに、2月にIntelが発表したロードマップでは、GPUを(どこのファブとは言ってないが)外部のN3プロセスで製造するとしています。確実にTSMCのN3でしょうけどね。

AMDはもっと先になるのかな。Zen 4ではN5が採用されることが公式に発表されていますが、Zen 5以降については存在すらも明らかになっていません。ただ、AMDは数世代前から最新のプロセスを使わなくなったんですよね。なにか意図があるのか、それともAppleに負けているのか。気になりますね・・。

NVIDIAは最近のTSMCの採用はもっぱらGPGPU中心となっています。GH100がN5ベースなので、GH100の更に後継は、2年ごとの更新と考えたときに2024年。N3Eを採用するか、N3を採用するかというレベルになりそうです。N2は更に先の話になるかなぁ。コンシューマーレベルで言えば、GeForce RTX 40番台でN5の製造容量を確保するためにかなりNVIDIAが頑張ってるという噂ですし、TSMCが製造する可能性も0ではなさそうです。

N3E

そしてN3のマイナーアップデートとなる「N3E」について、当初の予定だった2024年から2023年末に前倒しにしたという情報が3月にありましたが、さらに前倒しされ2023年第2四半期に量産を開始するそうです。同社は、N3Eについて、N3の一年後に提供を開始するとしており、こちらは2023年の大量生産が発表された格好です。

もちろん、TSMCの最大の顧客になるのはAppleで、IntelQualcommは一部のみです。特にこのQualcommが若干謎で、Snapdragon 8 Gen 3くらいではそろそろメインのファブがTSMCに戻りそうな予感(というかSamsungの動きが全く読めん)。

Appleでは、Apple A18みたいなチップに採用されるのでしょうか。Apple M4とかになるのかな?

Intelは、N3よりもさらに先と考えると、Arrow LakeあるいはLunar Lakeくらい。Intelも2ヶ月前に発表したロードマップで、Arrow LakeまではGPUタイルにN3を採用するという計画を発表していましたが、Lunar Lakeは明らかになっておらず。Intelのファブに戻るのか、それともN3あるいはN3Eになるのか気になる部分ではあります。

あと、IntelはdGPUの生産においてはTSMCに依存していますので、TSMCの動向もIntel GPUを調べている人は注視するといいと思います。

2nmプロセス

最後は2nmプロセスの話。Wei氏は、2025年の量産に向けて順調であるとしています。テープアウト自体は2024年を予定しているとのことです。まだ2025年のどの時期に量産になるかが明らかになっておらず、2025年の製品に採用されるのか、あるいは実際の製品は2026年から登場するのかという話はまだわかりません。

TSMCは、2nmでGAAを初めて採用するということになるそう。GAAはGate-All-Aroundで、FinFETに変わるもの。Intelはこれを「RibbonFet」とよんでいますが、それのTSMC版だと考えればいいと思います。IntelはRibbonFetを2024年以降に量産開始の「Intel 20A」プロセスから採用、SamsungはGAAを3nmから採用するとしています。タイミング的には、IntelTSMCSamsungが遅かれ早かれ2024-5年あるいはその前後で一斉にFinFETからGAAに置き換わるので、ファウンダリ同氏のかなり熾烈な競争が生まれることになりそうです。

Intelの動向も気になる。

最後にちょっとだけIntelの話を、振り返りで話したいと思います。Intelは、Intel 7の次、来年リリースのMeteor Lakeから「Intel 4」プロセスに移行します。こちらは旧来のIntel 7nmプロセスを指します。そして、2024年前半に前述の「Intel 20A」プロセス、2024年後半以降に「Intel 18A」となります。

実際には、4と20Aの間には、XeonなどのHPC/SP向けの「Intel 3」プロセスもあり、2024年までは1年ごとのプロセスの更新になります。

タイムライン

では最後に、IntelTSMCの公式発表に基づくタイムラインを作成したので共有します。

TSMCIntelの今後のロードマップ

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