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「Meteor Lake」を中心にIntelの一部製品が遅延するとの報道 〜 TSMC N3の拡張計画が影響を受ける可能性

錦です。

TrendForceのレポートによると、Intelの一部製品が遅延する可能性がある事がわかりました。

注文がキャンセル

IntelIDM 2.0戦略に基づき、外部ファウンドリを積極的に利用していくということを掲げており、第14世代Coreプロセッサとなる見込みの「Meteor Lake」では、AMDでいうチップレット構造を指す「タイル構造」を採用し、CPU・GPU・IO・SoCがそれぞれ独立したタイル(チップレット)になり、この内GPUTSMCのN3プロセスに外注されます。

当初、このMeteor LakeのGPU(以下、tGPU)は今年下半期に量産に入るとされていましたが、何らかの原因によりその注文がほぼ完全にキャンセルされたそうです。なお、一部の検証用のウェハの注文自体は残っているみたいなので、TSMCから別のファウンダリに移したというわけでもないです。

TSMC N3プロセスは、立ち上げ時点での顧客はAppleIntelのみでしたが、この内Intelの注文が遅延状態となったためAppleのみが残ることとなりました。しかし、そのAppleも今年のiPhoneに採用される次期チップ(仮称:Apple A16)では引き続き5nmを採用する見込みであることから、TSMC N3プロセス自体の拡張が遅延するようです。

また、Appleが完全にN3世代のプロセスに移行するのは2024年になることからN3の拡張は想像よりも遅れる可能性があります(Appleは、ProなしiPhoneに対しては一世代前のチップ(今年であればApple A15)を採用し、iPhone Proのみ最新世代(今年であればApple A16)を採用する見込み)。TSMCのプロセス拡張の話はこの記事の後半でお話します。

他製品への影響

Intelではなにかしらの問題により、外注する部分の製品において遅延が発生しているようです。少なくともtGPUの影響で「Meteor Lake」が遅延している他、Sapphire Rapids、デスクトップ向けArcが影響を受けているそう。

VideoCardzが遅延の詳細を指摘しており、おそらく量産の予定だと思いますが、

  • Meteor Lakeが2022下半期から2023年上半期へ遅延
  • デスクトップ向けIntel Arc Alchemist(Aシリーズ)が2022年第1四半期から第3市販k時に遅延
  • Sapphire Rapidsが2021年第4四半期から2023年第1四半期へ遅延

としています。特にSapphire Rapidsは今年登場が事実上断念されているようですね。

他社のプロセス移行の動向

直近(今後1年前後)で3nmプロセスへの移行を計画しているのは前述の通りIntelAppleのみであり、今回の情報を見る限り、一番はじめにTSMC N3を採用して登場する製品は「Apple A17」または「Apple M3」(ともに仮称)となる見込みです。

AMDは、2024年までにZen 5シリーズのアーキテクチャで3nmの採用を明らかにしていますが、発表を見る限りすべてが3nmになるわけではなさそうで、完全な移行は2025年以降となる見込みです。

NVIDIAは少なくとも次期製品ラインナップとHopperが5nmであるため、それを基に考えると2024年後半まで3nmの製品は登場しないでしょう。

QualcommMediaTekの動向は不明ですが、TrendForceによると2024年に移行となる見込み(Snapdragon 8 Gen 3世代かな?)。

TSMC N3の拡張動向は、現時点でApple次第ということになりました。Apple M3がA17より先に登場する場合、N3の拡張計画はやや早めに進展すると見られますが、M3の登場は2024年だと個人的に考えていることから、少なくとも今年〜来年の拡張計画はほぼ白紙状態なのでしょう。

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