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Intel、第13世代Core「Raptor Lake-S」を正式発表! 〜 10月20日に発売

出典:Intel

錦です。

Intelは、第13世代Coreプロセッサラインナップ「Raptor Lake-S」を正式に発表しました。

Raptor Lake

第13世代Raptor Lakeは、Alder Lakeの光景となるプロセッサラインナップで、Alder Lake同様、Core系統とAtom系統のコアを混ぜ合わせて性能や効率を向上させる「Intel Hybrid Technology」を引き続き採用します。

ラインナップ

まずは、ラインナップを見ることにしましょう。

i9-13900K i9-13900KF i7-13700K i7-13700KF i5-13600K i5-13600KF
Pコア 8 8 8 8 6 6
Eコア 16 16 8 8 8 8
コア/スレッド 24C/32T 24C/32T 16C/24T 16C/24T 14C/20T 14C/20T
Pコア
ベース
3.0GHz 3.0GHz 3.4GHz 3.4GHz 3.5GHz 3.5GHz
Pコア
TB2
5.4GHz 5.4GHz 5.3GHz 5.3GHz 5.1GHz 5.1GHz
Pコア
TBMT 3.0
5.7GHz 5.7GHz 5.4GHz 5.4GHz
Pコア
TVBT
5.8GHz 5.8GHz
Eコア
ベース
2.2GHz 2.2GHz 2.5GHz 2.5GHz 2.6GHz 2.6GHz
Eコア
ブースト
4.3GHz 4.3GHz 4.2GHz 4.2GHz 3.9GHz 3.9GHz
L3キャッシュ計 36MB 36MB 30MB 30MB 24MB 24MB
L2キャッシュ計 32MB 32MB 24MB 24MB 20MB 20MB
iGPU UHD 770 UHD 770 UHD 770
PBP 125W 125W 125W 125W 125W 125W
MTP 253W 253W 253W 253W 181W 181W

Eコアの増加・キャッシュの強化・クロックの向上が注目ポイント

今回特筆すべきは全体的にコア数が向上しているという点です。前世代で8P8EだったCore i9は8P16Eに、8P4EだったCore i7は8P8Eに、6P4EだったCore i5は6P8Eになっています。簡単に言うと、Eコアが倍増しています。

Eコアは引き続き「Gracemont」が採用されます。Eコアは、Intel Hybrid Technologyのもとで4コアごとにクラスタを構成し、クラスタごとに共有メモリを持っていました。Alder Lakeではクラスタが最大2基だったのに対して、Raptor Lakeでは4基搭載されており、4x4で最大16基のEコアを搭載できるようになりました。

そして、PコアにはAlder Lakeの「Golden Cove」から強化された「Raptor Cove」が採用されています。Raptor Coveでは、キャシュ周りで大きな強化が含まれており、コアあたりのL2キャッシュが1.25MBから2MBになりました。

Golden CoveにもL2キャッシュが2MBとなるラインナップがあるようですが、それはSapphire Rapids*1に採用されるもののようです。じゃあ、Sapphire RapidsのコアはGolden Coveではなく、Raptor Coveなのかと言われればそういうわけではなく、Raptor Coveにはキャッシュ以外にも変更点があり、その一つが回路の見直しによるクロックの向上であるといいます。

今世代は、上記の仕様をご覧いただければおわかりいただける通り、最大5.8GHzまでブーストしたり、先日のIntel Tech Tourで8GHz OCを達成できたり、6GHzに達するSKUが予告されるなど、高クロックとなっています。そうした改良が加えられたものが「Raptor Cove」です。

ちなみに、8GHzへのOCは手の届く範囲になっているそう。まさか、こんな早くに6GHzが来るとは思わなかったですね。

そして、この改良はGracemontにも及んでおり、Gracemontでも最大4.3GHzまでブーストするようになっています。GracemontはComet Lakeよりも性能が高い(Alder Lake)とされていたので、Gracemontだけでもかなり素晴らしい性能が得られるものと見られます。

更に、Raptor Lakeではプロセスルールがマイナーチェンジながら更新されており、一応改良されたIntel 7と説明されていますが、Intel内部ではIntel 6やIntel 7 Ultraというように呼ばれているそう。こうしたプロセスの改良もクロックの向上につながっているのでしょう。

その他にも、内部ファブリックの高速化なども施されています。

各CPUのキャッシュ容量は上記表を御覧いただきたいですが、Raptor Coveでのキャッシュは次の通り。

L2 L3
Pコア x1 2MB 3MB
Pコア 全体 16MB 24MB
Eコア x4 4MB 3MB
Eコア全体 16MB 12MB
CPU全体 32MB 36MB

また、Windows 11 2022 Updateではスケジューラの改良が加えられているとのことで、より効率が向上するとのこと。

MTPは253W!

以前のPL2にあたるMax Turbo Power(MTP)は253Wに向上。Alder Lakeが241Wだったのでわずか(?)ですが上昇しています。

後述しますが、Alder Lakeの241Wでの性能を、Raptor Lakeでは65Wで実現できるとしており、効率は良くなっているみたいです。

なお、以前のTDP/PL1に当たる、Processor Base Power(PBP)は125Wで据え置きです。

インターフェイス

Alder LakeでAMDに先立ってPCIe 5.0をサポートしたIntelですが、サポート部分は若干弱く、Ryzen 7000シリーズで28レーン(内4レーンはGen 4でチップセットと接続)だったのに対して、Raptor LakeはGen5 16レーンとGen4 4レーンにとどまっています。

ただし、メモリには汎用性があり、DDR4-3200が引き続きサポートされます。チップセットIntel 600と互換性があるらしいのでマザボを買い換える必要なし!(Alder Lakeからアップグレードする人がどれほどイルカはわかりませんが)。

そして、DDR5-5600をサポートしました。メモリOCをしなくとも5600MHzまでは向上します。これに伴いメモリ帯域は最大89.6GB/sまで向上します。

なお、IntelエンスージレベルのメモリではDDR5-10000までOCできるとしています。えぐい。

そして、CPU-PCHの通信はPCIe 4.0 x8でこれに変更はありませんでしたが、実効通信速度が改善されているとのことです。

性能

こうした進化によって、前世代Alder Lakeと比較してシングル性能が15%、マルチ性能が41%向上しているそう。ただし、これはMTP(253W)で動作している場合で、Alder LakeのMTPに合わせて241Wで駆動させた場合のマルチ性能は37%、115Wで駆動させた場合21%マルチ性能が向上し、65Wで駆動させてもAlder LakeのMTPと同性能になると謳っています。

今回、cTDP DownにあたるMinimum Assured Power(MAP)が設定されていないですが、65Wに落として利用するのもありでしょう。

実際のアプリでの性能はゲームで最大24%、クリエイティブで最大35%性能が向上するとしています。

競合との比較で、Ryzen 9 5950Xと各タイトルでゲーム性能を比較すると、

  • World of Warcraft:Shadowlands」で6%
  • 「Mount & Blade II:Bannerlord」で16%
  • Counter-Strike:Global Offensive」で16%
  • 「Total War:Warhammer III」で19%
  • 「F1 2022」で27%
  • Far Cry 6」で31%
  • 「The Riftbreaker」で45%
  • 「Arcadegeddon」で52%
  • 「Marvel's Spider-Man Remasterd」で58%

それぞれ性能が上回っています。

FPSについても、The Riftbreakerで5950Xの2倍になるなどRyzenをわりと圧倒しています。

ちなみに、Zen 3世代(Ryzen 5000番台)でEPYCとスリッパを除く最上位は 3D V-Cacheを採用した「Ryzen 7 5800X3D」ですが、これと比較すると割とどっこいどっこいかも。

クリエイティブ性能では5950Xと比較して

  • 「Pugebench - Photoshop Overall」で33%
  • 「Pugebench - Premire Pro Overall」で16%
  • 「Pugebench - After Effects Overall」で34%
  • 「Auto CAD Cadalyst - Total Index」で47%
  • 「Auto desk Revit - Model Creation」で69%

性能を上回っています。

比較対象が、Ryzen 7000ではなく、Ryzen 5000なので、ちょっと不釣り合いな気がしますが、それでもRyzen 7000と堂々と戦うことになるでしょうね。

発売

発売は10月20日。国内の発売日や価格は発表されていません。値上げは、、パット見されてないっぽいけど・・・。

Core i9-13900Kが589ドル、Core i7-13700Kが409ドル、Core i5-13600Kが319ドル、iGPUが無効化されたF付きモデルはこれよりも25ドル安くなっています。

関連リンク

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*1:第4世代スケーラブルプロセッサ