錦です。
空港っていろんな法律で色々決まってるんですよね。その中でも、滑走路の先数キロに渡ってビルなどの高さが制限されているのは皆さんご存知でしょうか。今回は私が大阪在住なこともあって気になった大阪空港の建造物の高さについてちょっと戯言。
伊丹空港
伊丹空港、またの名を大阪国際空港といいますが、大阪府豊中市、池田市、兵庫県伊丹市にまたがる空港です。国際空港と言いながら国際便は歴史的経緯から関西空港にすべて移管され、現在は国内線のみとなりました。
そんな伊丹空港の場所を示しますと。
となります。周りを見ていただければなんとなくおわかりいただけるかもしれませんが、超住宅街の中にある空港なのです。先程、歴史的経緯といいましたが、主な理由は関西空港が人工島で24時間離着陸できるようになったことと、やはり住宅地ですので騒音の関係から離着陸の回数に制限があるということなんですね。
高さ制限
空港には航空機の安全な航行のために、いくつもの法律のよって様々なことが決められています。その中には空港から何キロも離れたところに影響があるものもあります。そして、今回取り上げるのは航空法で定められた空港周辺の建造物についてです。これは私が文章を書くよりも航空局が出している文章のほうが正確に伝わるので東京航空局の文章を引用します。
航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要があります。このため、航空法において、次のような制限表面を設定しております。
出典:空港周辺における建物等設置の制限(制限表面) | 国土交通省東京航空局
この障害物とは、高さのあるビルなどの建築物のことを意味しています。空港周辺では、ビルの高さに制限があるという認識で構いません。
また、この高さ制限も、空港からの距離、滑走路の向きなどで変わります。滑走路の延長線上にある場合は他よりも厳しい制限が課せられていることがおわかりいただけるでしょうか。
伊丹空港での高さ制限
では、伊丹空港の直線上には何があるのか見てみましょう。
こちらは、OpenStreetMapで伊丹空港の滑走路のの延長線を直線で示し、また大阪の主要な繁華街をマーカーで示したものになります。まず、延長線上にある薄い紫は新大阪駅があります。新大阪駅はガッツリ延長線上にあるので高さ制限をもろに食らうことで有名です。そのため、梅田程の高層ビルはなく、程々の高さのビルが多いという印象を受けます。
また濃い紫色のマーカーで示した京橋も直線下にあります。あまり高い建物はありませんが、新大阪と違って空港からやや距離があるので新大阪ほど低いビルばかりではありません。それなりに高いマンションなどもあります。
そして、青いマーカーで示したのは大阪のキタと呼ばれる部分で梅田や北新地の地域になります。この部分も直線上ではありませんが、直線に近い位置にあり、微妙に高さ制限があります。
最後に緑のマーカーで示した部分。これはミナミと呼ばれる地域でこの地図では難波や新世界、天王寺を含む地域です。この部分は高さ制限を食らう下限となる地域でもあります。
詳細に見てみましょう。
このページは、関西空港・伊丹空港・神戸空港を運営する関西エアポートが公開している、場所を提示すると高さ制限を回答してくれるサイトです。はじめからこのページを示しとけばよかったのかもしれません。
このページに示されたGoogle Mapsには高さ制限を食らう部分がマークされています。Google Mapsをキャプチャするのはまずかったはずなので実際にページを見ていただければと思います。
前述したミナミにはかの有名な日本一高いビルである「あべのハルカス」がありますが、実は航空局の高さ制限ギリギリの場所に位置しています。国道25号を挟んで北に隣接する天王寺動物園の大半は最大294mの高さ制限の部分がありますので、300mのハルカスは結構ギリギリでしたね。
ウメキタと梅田
では梅田ではどうなのかというと、北限(淀川)で170m、南限(中之島)で200m程度の高さ制限があります。そして、梅田の再開発地「ウメキタ」では180m前後の制限があります。
この影響で、大阪都心部には超高層ビルがそんなに多くはありません。そのおかげか、あべのハルカスが遠くから見ても結構目立つんですよね。
ただ、ウメキタ開発は、この高さ制限もあるかはわかりませんが緑の街の方面へ開発が進むことになったので、都心の中の緑ということでこれで良かったという声もあり、ある意味「大阪らしい」まちづくりができるのかななんて思ったりしています。
残念ながらこの記事に落ちはありません。