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【編集後記】もし"今"、MacがIntel CPUやAMD GPUを搭載して更新されていたらどんな構成になっていたのだろう。

Apple Silicon Macが登場してはや2年、発表から数えてまもなく2年半となる。AppleWWDCで今後もIntel Macが登場するようなことを示唆していたが、現時点でIntel Macの音沙汰はまったくない。あれは「まだIntel Macは売り続けるぞ」という意味だったのだろうか。

MacApple Siliconに移行してからもIntelはもちろんCPUのアップデートを続けている。Macで採用された最後のIntelプロセッサは第10世代だった。現在は第13世代が最新ラインナップとなっているのでAppleIntel CPUを採用しなくなってからCore系統だけで3世代もアップデートが続いている。今回は、そんなMacに"今も"Intel CPUが採用され続けられていたとしたら、どんな構成になっているのか、個人的な妄想であるがまとめてみた。

レギュレーション

この記事を書きすすめるにあたっては基本私の自由な偏見で書いていくが、以下のレギュレーションを定めたい。こうしないと妄想が行き過ぎて悪魔みたいなMacが出来上がってしまう

  • ラインナップはIntel Mac時代のものを採用する。つまりMac Studioは対象外となるが、おまけ程度に記事の最後の方に書いておく。iMac Proは特例で対象。
  • Intel CPUは正式に発表されているものを採用することとする(リークはだめ)
  • GPUは存在しているGPUの派生でのみ、実在しないGPUを作り上げてもいいこととする
  • 性能はGeekbench 5(Geekbench Browser)を採用し、Intel最後のモデルと、Geekbench Browserで検索した最大構成同士を戦わせて、可能な限り向上率が大きな数字になるようにする(やっぱメーカーはいい数字出したいだろうしね・・・)。ただし、極端に性能が高いとかは省く。

みたいな。ただ、この記事は私の私による私のための記事であることを承知していただきたい。ただの妄想なのだ。

MacBook Air

まずは筆頭、MacBook Airだ。MacBook Airは現行Macの中で最も軽量なモデルである。Intel自体から存在する現行Macラインナップでは古株な方だ。

そんなMacBook Airだが、最後のIntelモデルは2020年春に発売されたものとなる。このモデルではIce Lake-Yを採用した。Ice Lake-YはApple用にカスタマイズされたものが搭載されていて、TDPは10W。つまりMacBook Airの筐体は少なくとも10Wに耐えるように設計されている。

そのことから考えると搭載されるであろう最新のラインナップは、Alder Lake-U9になるだろうか。

構成
CPU Core i3-1210U
Core i5-1230U
Core i7-1260U
GPU UHD(i3)
Iris Xe(i5/i7)
メモリ 8GB/16GB
LPDDR5-5200

のような構造になると私は考える。メモリについてはAppleIntelが公式に仕様としている通りの仕様にしてくることが多いので、LPDDR5-5200とした。

なお、Alder LakeではApple Siliconを含めたArmの「big.LITTLE」に相当する「Intel Hybrid Technology」が採用されており、PコアとEコアを混載するプロセッサとなっている。最大コア数が2P8Eで10コアとなっているなど、現行のMacBook Airよりも進化している点がある。

性能はマルチで2.3倍、シングルで1.46倍と2年のブランクとしては非常に高い性能を誇ることになるだろう。ちなみにこれはApple M2とも結構いい勝負をする。GPU性能は

MacBook Pro 13" 下位

MacBook Pro 13インチでも、Thunderboltポートを2つしか搭載しないモデルを便宜上、MacBook Pro 13"下位モデルと表現させていただく。

MacBook Pro 13" 下位の最後のIntelモデルは2020年の春にアップデートされているが、これはキーボードの変更のみでCPUの変更はもっと過去に遡る。記憶が正しければ2019年モデルで搭載されたCPUは第8世代まで遡ることになる(そのせいで晩年はMacBook Airより性能が下だった気が)。ただし、TDP帯は15Wというのは貫き通した。

ということを考えると、Alder Lake-U15が妥当なラインナップとなるだろう。

構成
CPU Core i3-1210U
Core i5-1245U
Core i7-1265U
GPU UHD(i3)
Iris Xe(i5/i7)
メモリ 8GB/16GB/32GB
LPDDR5-5200

正直、このグレードのPCに32GBメモリモデルが用意される可能性は低いのだが、Intelの公式仕様では64GBまで載せることができるので32GB乗せてみた。後述するMacBook Prio 16"もIntel晩年に64GBバリアント選べるようになってたし、もしいまのIntelラインナップが続いていたらいつかはメモリも32GBまで選べるようになっていただろう。ただ、M2は最大24GBなんだけどね。

性能は、マルチが2.31倍、シングルが1.67倍とこれまた大きく成長。GPU性能は4倍とAppleは超嬉しそうにパワフルなGPUと紹介するくらいにはアップデートされている。というかそもそも、CPUもGPUもコア数が大幅に伸びているうえ、世代が4つも進むことを考えなければならない。

MacBook Pro 13" 上位

現在はMacBook Pro 14"となっているこのモデル。13"下位モデル同様、この記事では便宜上、Thunderboltを4ポート搭載するMacBook Pro 13"を上位モデルと表現させていただく。

MacBook Pro 13"上位は、下位と同じく2020年にアップデートされているが、このモデルではCPUの更新が行われている。もちろんCPU内蔵GPUもだ。更新された先はIce Lake-U。唯一Macにのみ搭載されているラインナップ28W帯のIce Lakeだ。

Ice Lake-Uの流れをくむ最新のラインナップはAlder Lake-P28である。

構成
CPU Core i3-1220P
Core i5-1250P
Core i7-1280P
GPU UHD(i3)
Iris Xe(i5/i7)
メモリ 8GB/16GB/32GB
LPDDR5-5200

このラインナップはIntel晩年に32GBバリアントが登場した。

CPU性能はマルチが2.11倍、シングルが1.45倍。Intel Hybrid Technologyによるモバイル向けの最大構成である6P8Eを搭載するため大きく性能が向上する。

GPU性能は1.9倍とほぼ2倍の進化。最大96コアのXe GPUで28Wラインナップなのだからこの上昇率になるのは仕方のないことだ。特に最近IntelGPUに非常に力を入れている。Ice LakeのGPUもSkylakeの頃に比べて大きく性能が向上したが、Xeは力の入り方が違うようだ。

MacBook Pro 16"

MacBook Pro 16"だが、今は140Wまで耐えうる設計になっているが、Intel版ではだいたい100Wに収まる様になっている。というか80W位じゃないと充電の計算が合わないので多分80Wくらいで動作しているように思うのだがどうなのだろうか。

MacBook Pro 16"はCPUとは別でRadeon GPUを搭載している。この企画ではGPUも妄想に含まれている。

構成
CPU Core i7-12700H
Core i9-12900H
Core i9-12900HK
GPU Radeon PRO W6300M
Radeon PRO W6500M
Radeon PRO W6600M
メモリ 16GB/32GB/64GB
DDR5-4800

採用したCPUはAlder Lake-H45、GPUはRadon PRO W6000Mである。

CPU性能はマルチは2.06倍、シングルで1.64倍となっている。そもそも、MacBook Pro 16"に搭載されていたCPUが第9世代であり3世代進んでいることもあって性能は大幅に向上している。ちなみに、Intelアーキテクチャの大幅アプデが続いており、Alder Lakeではシングル性能はApple M1世代と同等かそれ以上になっている。そのため、クロックが高くなるとM1 Pro/M1 Maxより性能が高くなる場面がある。

さて、本企画では初めてdGPUを搭載するモデルであるが、現時点でRDNA 3 GPUは登場しているものの、ワークステーション向けGPUが登場していない上、Radeon PRO W6000MシリーズのComputeスコアの結果が見つからなかったのでGPU性能比較は割愛する。特にRDNA 2はGPU以外にもアクセラレータやらキャッシュやらにやたらでかいアップデートが入っているので、容易に性能が予想できない。だが、AMDの説明によればRDNA 2はRDNAと同電力で30%の性能向上とあるので、だいたい1.3倍からキャシュ云々を考慮して1.5倍といったところだと思う。

ワークステーション向けとゲーミングGPUは少し違うので余り比べるべきではないが、RX 5600 XTとRX 6600 XTはだいたい20%程度性能が向上している。

iMac 21.5" 下位

iMacは現在24"に大型化されているが、もともとはiMac 21.5"である。画面は大型化しているが、M1が搭載された事によって総じての消費電力が小さくなったことによりおそらく今のほうが電力容量は小さいはずだ。

iMac 21.5インチも実際には下位モデルと上位モデルに分けることができる。どのような違いかというと、搭載されているCPUが上位モデルはデスクトップ向けなのにたいして下位モデルは消費電力が低いモバイル向けである点、ディスプレイが上位モデルは4K Retinaというきれいなものなのに対して、下位モデルはフルHDの非Reinaディスプレイである。また、下位の場合、dGPUは搭載されない。

ではまず、下位モデルから考えていく。下位モデルは従来15W帯のCPUが採用され続けていた。なぜMacBook Pro 13"上位よりも消費電力が小さいこのこのグレードのCPUであったかは正直謎なのだが、そんなに頻繁にアップデートされてないところを見ると、単純にMacが必要な環境向けのローエンドiMacと考えることができる。

構成
CPU Core i3-1210U
Core i5-1245U
Core i7-1265U
GPU UHD(i3)
Iris Xe(i5/i7)
メモリ 8GB/16GB/32GB
LPDDR5-5200

Alder Lake-U15を検討の対象としたので、必然的にMacBook Pro 13"下位と全く同じ構成になった。GPUも申し分なく、今の私なら買ってしまってもおかしくないくらいの性能は誇っている。

性能はマルチが4.35倍、シングルが2倍と非常に高くなっている。そもそも採用されているCPUが第7世代とだいぶ古いCPUであることも原因である。GPU性能は2.96倍とこちらも非常に高い。やはり、5世代も世代が進むとトリプルスコア以上に性能が上がる。

iMac 21.5上位

では、iMac 21.5インチの上位を考える。iMac の上位モデルは、Core Sと呼ばれる一般のデスクトップ向けCPUが採用されていることが多い。ただし、GPUはモバイル向けが採用されていることが多い。ただし流石に125WのCPUは採用されない。電力的な問題なのだろうか。

ということは65W CPUの採用ということになるだろう。となるとAlder Lake-Sとなる。ちなみに、Alder Lake-HXというほぼSのモデルがあるが、今回は無視する。

構成
CPU Core i9-12900
Core i7-12700
Core i5-12600
Core i5-12500
GPU Radeon PRO W6600M
Radeon PRO W6500M
Radeon PRO W6300M
メモリ 8GB/16GB/32GB
DDR5-4800

GPUにはRadeon PRO W6000Mシリーズを採用してみた。なお、MacBook Pro 16"と同じ理由でGPU性能は比較できない。ただ、性能的に見ると、Radeon 500番台ということもあり2世代進んだGPUであることから、性能は2倍以上に向上することになるだろう。

CPU性能は、マルチが2.88倍、シングルが1.83倍になる。この製品も最後のIntel版が第8世代と非常に古めであったことからこのように性能が大きく向上することになると考える事ができる。

iMac 27"

iMac 27"はApple Silicon版では展開されていない。おそらく、Mac Studioがその立場を引き継いでいるのだろう。

iMac 27"は125W CPUにも耐える設計をしていることから、ガンガンスペックを上げることにする。

構成
CPU Core i9-12900K
Core i7-12700K
Core i5-12600K
Core i5-12500
GPU Radeon PRO W6800X
Radeon PRO W6600X
Radeon PRO W6500X
メモリ 8GB/16GB/32GB/
64GB/128GB
DDR5-4800

搭載するCPUはAlder Lake-Sの上位シリーズ軍団である。iMac 2020モデルに採用されたCPUと同じグレードのものを用意した。GPUにはMac Proでも採用されているRadeon PRO W6000Xを搭載している。

性能は、マルチが2.38倍、シングルが1.63倍となった。例によってIntel Hybrid Technologyによって最大コア数が10コア20スレッドから8P8Eの16コア24スレッドに増加しているためマルチが向上している。ちなみにであるが、Intelの公称ではAlder LakeのEコアだけでiMac 2020に採用されているComet Lakeの性能を超えることができることがわかっている。

一方GPUは、iMac 2020モデルでPro 5700 XTが採用されていたが、Mac Proと同じW6800Xを含むラインナップにアップグレードした。ただ、vRAMが32GBとiMacにしては過剰すぎるため、実際に搭載されていたかはわからない。これは現実と妄想のギャップである。

GPU性能は1.63倍。これがだいたいRDNAとRDNA 2の性能差であるだろう。

Mac mini

Mac miniは、小型かつ様々な使い方をすることができるが、iMac 27"ほどの電力設計は持っていない。おおよそiMac 21.5"程度のCPUを搭載しGPUは搭載しないというがセオリーだ。

最後のMac miniには第8世代Coffee Lake-Bという、デスクトップ向け65W CPUをモバイルソケット型にしたプロセッサが採用された。

Mac miniは個人的に2通り考えることができた。それぞれまとめていく。

まず1つ目は、純粋にBシリーズを搭載するという妄想だ。そもそもBラインナップというのは、毎世代登場するようなラインナップではない。第8世代の次は第11世代のTiger Lake-Bでこれが最新である。

構成
CPU Core i9-119000KB
Core i7-11700KB
Core i5-11500B
GPU UHD
RAM 8GB/16GB/32GB/64GB

Tiger Lake-BもCoffee Lake同様にモバイルソケットの65Wラインナップであるが、Tiger Lakeにはデスクトップ向けのラインナップが存在しておらず、実質的にTiger Lakeの最上位モデルとなっている。TDPのは65Wでソケットもモバイル向けのものになっており、モデルの末尾にBがつくことからも、Coffee Lake-Bの後継であると考えて採用してみた。

性能は、マルチが1.89倍、シングルが1.57倍とこれまた世代をいくつか超える関係で非常に高くなっている。GPUは、それほど強力なものは搭載しないものの、1.71倍とCU数が24基から32基に増加したことや、GPUアーキテクチャが2つ前進したこともあり大型アップデート並に性能が向上した。


2つ目はAlder Lake-HXを採用する例である。

Alder Lake-HXは、モバイル向けソケットであるがデスクトップ向けダイを採用しているという、Coffee Lake-Bと同じコンセプトの商品である。Intelがターゲットとしているのは超高性能ゲーミングラップトップであるため、そもそもCPU自体の値段もそこそこに高くなってしまうので現実的なものではない。ただし、製品コンセプトとしては十分一致している製品であるため、採用してみた。

構成
CPU Core i9-12900HX
Core i7-12700HX
Core i5-12600HX
GPU UHD
RAM 8GB/16GB/32GB/64GB
DDR5-5200

CPU性能はマルチが2.94倍、シングルが1.76倍となっている。やはりAlder Lakeの最上位とほとんど同じ構成をしているため性能が高くなっている。

GPU性能は1.87倍とこちらもダブルスコアとまでは行かないがそれなりに大きなアップデートとなっている。おそらく、これを酷使しようとした場合、プロの方はeGPU前提に考えているのではないだろうか。

Mac Pro

そして本命Mac Proである。

Mac Proは2019年モデルと同じグレードであると考えると、Ice Lake-Xが採用されることになるだろう。

構成
CPU Xeon W-3375
Xeon W-3365
Xeon W-3345
Xeon W-3335
Xeon W-3323
GPU Radeon PRO W6800X Duo
Radeon PRO W6900X
Radeon PRO W6800X
Radeon PRO W6700X
Radeon PRO W6600X
それぞれ1基または2基
RAM 32GB/64GB/128GB/256GB/512GB/1TB/2TB/4TB
DDR4−3200

Ice Lake-Xは最大38コア76スレッドとなっている。現行のモデルから10コア20スレッド増加していることになる。GPUは正直なところ、Mac Proでは定期的に更新が続いていたので現行と全く変更点がない。

CPU性能は、マルチがシングルは1.15倍、1.3倍となっている。アーキテクチャの更新があったとしてもそもそもクロックが下がることによってシングルは小幅となっている。ただマルチも小幅である。そもそもGeekbench Browserにあるサンプルも少ないためもう少し性能は高くなる可能性は十分ある。

最大メモリ容量は2TBから4TBになっている。そのため、4TBまでメモリ容量を増やしてみた。実際に4TBまでメモリを搭載するかはわからない。現行のMac Proに採用されているXeon W-3200シリーズでは、Mac Proを含めた多くのソフトは1.5TBとなっていた。これは多分1枚のDIMMの限界が128GBだったためではないかと勝手に思っている(違うかな)。構成は128GB x 12 DIMMで1.5TBだったのを256GB x 16DIMMとしている。

ちなみに、現行のMac Proは6チャネル12レーンとなっているが、W-3300は最大8チャネル16レーンに対応している。

iMac Pro

最後におまけとして、もしiMac ProがIntel CPUでアップデートされたらを妄想する。

iMac ProはXeon W-2100シリーズが搭載されています。このラインナップの最新のシリーズはCascade Lake-Xとなっている。これは現行のMac Proの縮小版となっている。

構成
CPU Xeon W-2295
Xeon W-2275
W-2265
GPU Radeon PRO W6900X
Radeon PRO W6800X
RAM 8GB/16GB/32GB/64GB/128GB/256GB/512GB/1TB
DDR4-3200

GPUにはMac Proと同じRadeon PRO W6000Xを採用してみた。

性能はマルチが1.04倍、シングルが1.19倍とかなり小幅となっている。そもそもSkylake-XもCascade Lake-Xもアーキテクチャ的に見れば共通であるため大きな性能向上はないはずだ。

GPUは2.36倍と世代が大きく変わると性能が向上する。

まとめ

Apple Siliconが登場してから、Intel Macはラインナップから一気に追い出され、ついに残すところMac Proだけとなった。実際にはMac miniにもIntel版はあるが、あれはIntel Macが必要な人向けに最後まで残りそうな気がする。

個人的にはIntel Macもラインナップとしておもしろかったのだが、Appleがどんなプロセッサを出してくるかというのも楽しみだ。