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Apple Silicon Mac Proの話 ~ どうやらM2 ExtreamはAppleからするとリスクが高いらしい・メモリ/ストレージは拡張可能に?

錦です。

BloombergのMark German氏のニュースレターでMac Proについて述べられていることがわかりました。どうやら開発が遅れているようです。

M2 Extreamがキャンセルされた可能性

まず、今回驚くべきなのはM2 Extreamと仮称で呼ばれているMac Pro向けハイエンドApple Siliconがどうやらキャンセルされたという可能性です。AppleはM1でM1 Maxより大きなパッケージ(M1 Ultra)では、UltraFusionというインターコネクトによってM1 Maxをスケーリングする方針を示しました。

M2でもその方針は変わらない予定であり、M2 Ultra(仮称)はM2 Max(仮称)を連結させたパッケージになるというのは既報のとおりです。そして、Mac Proに採用されると見られていたM2 ExtreamはM2 Ultraを2つ連結、あるいはM2 Maxを4つ連結したパッケージになると見られています。

しかし、今回の報道によりますと、M2 Extreamはコストを含むマーケティング上の理由と、開発の複雑さを理由にキャンセルされた可能性があります。マーケティング面とは、Appleの価格の設定方法的に、Apple M2 ExtreamのMac Proでは価格が10,000ドル(約140万円)を超える可能性があるという理由からだそう。

開発の複雑さとは、AppleTSMCで確保できる生産容量に対して、Mac Proというニッチな製品が占めてしまう生産能力が大きいというものがあります。UltraFusionとはその中身がTSMCのTSV技術ではないかと言われており、もしM2 Extreamを量産すると他のApple Siliconの供給に影響する可能性があるということみたいです。これはAppleからするとリスクになります。

メモリ・ストレージ

さて話は変わりまして、拡張性の話。German氏によると、Mac Proではメモリ・ストレージ及びそのたのコンポーネントを簡単に拡張する事ができるとしています。

Apple Siliconのメモリは総じてユニファイドメモリアーキテクチャUMA)を採用しています。これは、パッケージにチップとメモリを同梱させるというものであり、現時点でのApple Siliconはすべてメモリチップがパッケージ上に載っています。これによってメモリとCPUの物理的を縮めることができる他、帯域を確保することができます。

しかし、パッケージの大きさの限界があるため、そこまで大容量のメモリを乗せることができないという欠点が存在します。現行のMac Proでは1.5TBもの大容量のメモリが搭載可能になっていますが、Apple Siliconでは、たとえM2 Extreamが実現したとしても192GBが限界であり、これは1割程度でしかありません。今回の報道によりますと、どうやらMac Proではメモリが拡張できるようになっているようだと言うことです。


メモリについては、どのように拡張するかが気になります。

UMAではLPDDR5-6400を採用していますが、拡張となるとおそらくDIMMになるでしょう。となればメモリの企画はDDR5となりこれはSoC内のメモリと整合性がありません。

もし、Mac ProがSoCとDIMMで別々にメモリを持った場合、それは先日登場したIntelXeon Maxのような構成になります。Xeon MaxではCPUにHBM2eメモリを最大64GB、そしてシステムにDDR5のDIMMも搭載できるようになっていて、メモリの駆動方法に3つのモードを持たせています。3つのモードは「CPU同梱のメモリだけで駆動」「DDR5だけで駆動」「両方で駆動」であり、この内前者2つはこれまでのプログラムでも利用可能ですが、HBM2eとDDR5を協調させる場合、プログラムの対応が必要になります。

なぜ調整が必要なのかというと、まずDDR5とHBM2eは互換性がないためです。

これはMac Proに当てはめたときのDDR5とLPDDR5も同様です。両者には互換性がありません。そのためOS側で調整する機能が必要です。ただこの部分はAppleがOSも作っているので大きな問題ではない気がしますが。

では逆に、Mac Pro向けSoCではメモリが同梱されない(=UMAが採用されない)のであればどうなるのか。結論を言うとDIMMの数がエグいことになります。

もし、Mac ProがM1 Ultraの後継M2 Ultraを搭載してきたとしましょう。そして、メモリはDIMMなのでDDR5-6400。M1 UltraとM2 Ultraはメモリ仕様は共通でしょうから、メモリインターフェイスは1024bitになります。そしてDDR5が1024bitを実現するためには16チャネル必要であり、メモリスロットの総数は32スロットとなります。32スロットて。。。。

ただ、今回の書き方を見ると"追加の"やら"拡張"があるので、SoCメモリ+DIMMになるでしょう。もしかしたらDIMMではない新しいメモリになるのかも・・・?

あと、メモリ・ストレージはわかるとして、その他のコンポーネントってなんでしょうね。Afterburner的なアクセラレータなのか、それともGPUなのか・・・。

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