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M1 MacのWindowsなどのOS周りの話 〜 2023年春バージョン

錦です。

今回は、去年の8月に続いてM1 MacでのOS環境の話をまとめます。ここ数日でまた大きな動きがありましたのでそれをまとめました。2023年春バージョン(もう立春過ぎたし?)をお送ります。

Windows

Microsoft、Apple M1/M2搭載MacでWindowsを動作する方法を公式に案内 ~ ParallelsやWindows 365を推奨 - Nishiki-Hub

Windowsについては、Boot Campが使えるようになった!というわけでありませんが、Microsoft側がParallels Desktopを公認ソリューションとして認定し、これまでグレーみがかかっていたライセンス問題が解決しました。

Parallels Desktopはv17にてM1 Macに対応したものの、MicrosoftWindows 11 Arm及びWindows 10 ArmのISOを提供していなかったため、入手することができるInsider Previewを導入することでWindowsが扱えていました。実際にこれもライセンス上はかなりグレーだったでしょう。

しかし、去年8月にリリースされた「Parallels Desktop 18」では、Parallels Desktopの中から正規版のWindows 11 Armがインストールできるようになっています。当時、Parallels Desktopがこれをどうやって取得したのかで話題になりました(個人的にはSurface Pro Xとかから抽出したのかと思ってました)が、Microsoftから提供されてたんでしょうね。

そして今年2月17日、Microsoftは「Apple® M1® および M2™ チップを搭載した Mac® コンピューターでWindows 11を使用するためのオプション」というサポートページを公開し、M1/M2 Mac上でWindows 11を実行する方法として、Microsoft 365を始めとしたクラウドサービスを利用することを進めるとともに、Parallels Desktopを公認ソリューションとして認定しました。

ちょっと噂になっていた「MicrosoftQualcommの独占契約」が去年の時点でまもなく切れるとも言われていたので、今回の発表はQualcommとも契約が満了になったから公開したのかもしれませんね。

Boot Campは絶望的だろう

Mac上でWindowsを動作させる公式な手段として「Boot Camp」があります。しかしこのBoot CampIntel Macには対応するものの、Apple Silicon Macには対応していません。

実のところ、Intel MacWindows 11のBoot Campには対応していません。もはや、MacBook Proのみに供給されたIce Lake-U28自体がWindows 11でサポートされていませんので、Microsoftとしてもサポートする気がないのでしょう。それに、Boot Campが登場した2000年代後半にはMicrosoft側はMacに対抗するハードウェアを有していなかったのに対して、現在はSurfaceシリーズがあり、そのSurfaceシリーズの競合となっているMacにわざわざWindowsを対応させるような労力はかけず、すでにインフラが整っているParallels Desktopを公認したのではないでしょうか。

また、MacBookに最近搭載されているノッチは、Windowsが動作することを無視しているようにも見えます。もちろんコレまで通り長方形でMacを利用することもできますが、AppleとしてももうWindowsに対応させる必要を感じていないのではないでしょうか。そもそも、macOSのArmに対してWindows 11 Armは圧倒的に弱く、OS機能はおおよそ動くもののアプリケーションの移植が進んでいないこと、そしてRosettaに比べてWindowsエミュレータはそんなに性能が高くないこと、Windowsが必要な場面が若干減少していることなども要因じゃないでしょうか。

よって、今後しばらくMacでネイティブでWindowsが動くことはないでしょう。

その他のソリューション

Parallels DesktopMicrosoftの公認ソリューションになったことは、すなわち今後MicrosoftWindows 11 Armのイメージを公開する、あるいは特定の企業に対して供給する可能性があるということを意味しています。

Macにて仮想化ソフトウェアを提供するVMwareWindows 11への対応を検討しているとしています。

Linux

Linux 6.2がリリース 〜 Apple M1に対応を公称 - Nishiki-Hub

Linuxについては技術的な進展がありました。

今週リリースとなったLinux 6.2カーネルApple M1シリーズに対応ということになっており、カーネルレベルでApple Siliconに対応しました。実際にM1でLinuxを動作させる試みは2021年からAsahi Linuxとして続いており、昨年末にはGPUドライバの諸問題が解決したようです。

といっても、Asahi Linuxのホームページを確認したところ、TouchIDやGPUアクセラレート、CPUのディープスリープなどに対応しておらず、あくまでこれはカーネルがM1をサポートしたというのにとどまるようです。

しかしながら、着実にM1 Mac向けのLinuxは整いつつあり、近い将来完全なLinuxがM1 Macで動作することになるのではないでしょうか。