MacBook Airというか、M2 Macには共通してM1 Macから劣った部分があるとされた。それは最下位モデルでのストレージ速度である。今回は実測値でそれを比べてみよう。
M2のストレージ問題
Macのストレージ問題は結構前からたまにあった。例えば、2014頃のMacBook Airではフラッシュメモリの供給元が変わった関係でストレージ速度が下がったという報告が多かった。Appleはコンポーネントの製造元を明らかにしない上、内部の構造についても滅多に公式で言及しないので、こういった話は発売後やレビュー解禁後に明らかになる事が多い。今回もそうだった。
今回M2系でストレージ速度の劣化が報告されたのはストレージをアップグレードしなかったモデルのみである。つまり、Mac miniとMacBook Air、MacBook Pro 13"なら256GB、MacBook Pro 14"/16"なら512GBでストレージ速度が劣化したと報告された。
ストレージ速度が遅くなった原因はフラッシュメモリの構成である。M1 MacBook Airでは256GBを構成する時に128GBのNANDを2枚で構成していたのが、M2 MacBook Airでは256GBのNANDが1枚だけで構成された。MacBook Pro 14"/16"では、M1世代で4枚の128GB NANDで構成されていたが、M2世代で256GB NANDを2枚で構成された。それが理由でそれぞれ帯域が半減したと報告されている。
なぜこのような変更になったのかというと、NANDの密度が上がり、小容量のNANDの製造が少なくなったため、128GB NANDのコストが高くなってしまったというのが理由のようだ。つまり、これはAppleが・・・というより市場の動向的に安定的かつ低コストで128GB NANDが供給できなくなったという理由が大きいようだ。
速度
では本題である。今回は以下の3つのMacBook Airを用意した。
ストレージ | SoC | RAM | |
---|---|---|---|
M1 MBA | 512GB | M1 8コアGPU | 16GB LPDDR4x-4266 |
M2 MBA (友人M) |
1TB | M2 8コアGPU | 16GB LPDDR5-6400 |
M2 MBA (友人N) |
256GB | M2 8コアGPU | 16GB LPDDR5-6400 |
ストレージ速度の測定には「Blackmagic Disk Speed Test」を利用し、5GBのテストケースを利用した。結果を示す。
このグラフを見ていただければ分かる通り、M1 512GBとM2 1TBは3GB/s弱の速度を発揮しているが、M2 256GBは1.5GB/s程度に半減している。すでに様々なメディアによって報告済みであったためわかっていたものの、ストレージ速度が半減するというのは本当のようだ。
性能への影響
そして気になるのが性能への影響である。macOSは頻繁に仮想メモリスワッピング*1を行うことで有名であり、ストレージ速度が下がると性能への影響があると懸念されていた。
今回はワークフローをエミュレートするGeekbench 6の結果のみを掲載するが、より様々なデータが取れたら追加していく。
CPUの結果としては、ストレージ速度で差はないというのが結論だろう。今回M2 MacBook Airがともに16GB構成であり、スワッピングが発生しなかった状態である可能性が高いということも追記しておく。
GPUの結果は現在準備中である。
*1:あまり使わないメモリ内のデータをストレージ領域に移動させてメモリ自体の容量を確保すること