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Windows 11向けのArm SoC「Snapdragon 8cx Gen 3」と廉価版「Snapdragon 7c+ Gen 3」が登場 〜 8cx初のアーキテクチャの更新で85%の性能向上を実現

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錦です。

Qualcommは、Windows 11向けのArm SoCとして「Snapdragon 8cx Gen 3」と「Snapdragon 7c+ Gen 3」を発表しました。

8cx Gen 3

Windows向けのSnapdragonはSnapdragon 850から始まり、855をベースにしたSnapdragon 8cxがリリースされています。その後Snapdragon 8cx Gen 2が発表されていますが、アーキテクチャなどは変わらず、CPUのクロック向上と5Gの対応をしたのみで大きな違いはありません。

今回発表されたSnapdragon 8cx Gen 3は、8cxとしては初めての大型アップデートとなっています

CPU・GPUともにモバイル向けSnapdragon同様ブランドは単に「Kryo」「Adreno」と呼ばれる様になったのでどのCPUを採用しているかは不明ですがおそらく、Snapdragon 8 Gen 1と同じCPU/GPUかあるいはそれをベースにしたものになっていると見られています。

少なくともCPU/GPUともにマイクロアーキテクチャの更新はされていることにはなっており、CPU性能は前世代8cx Gen 2と比較して85%も向上、GPUも60%高速になっているとのことで、電力効率も向上しており、1回の充電で25時間を超えるバッテリ駆動時間を実現できるとのこと。これは x86プロセッサベースのデバイスが同じバッテリ容量を内蔵して駆動する時間の2倍(つまりx86チップの2倍の電力効率)とのこと。

Snapdragon 8 Gen 1と同じ世代と見られていますが、やや違う部分もあります。例えば、メモリ仕様はLPDDR4X-4266を8x16bitでサポートしていますが、LPDDR5のサポートは今の所ありません。

ただ、8 Gen 1に搭載されたHexagonシステムは8cx Gen 3にも搭載されており、CPU/GPU/DSPが協力してAIの処理を行うことよって、AI推論の性能が29TOPS以上となっているとのこと。これは8cx Gen 2の2倍以上の性能であり、テストによっては元からAppleを上回っていたということも考えると、CPU/APU/SoCによるAI性能は世界最高峰なのかもしれませんね。

ストレージは、NVMeとUFS 3.1に対応します。

また、5Gモデムについては、チップとして5Gには対応するもののモデムチップは内蔵しません。ただ、これは言い換えれば、ターゲットに合わせてモデムを変更できることを意味しており、8cxを搭載するものの廉価なバージョンであれば、やや古めのSnapdragon X55モデムや、最新の廉価モデムであるSnapdragon X62を搭載して、ハイエンドにするのであればSnapdragon X65を用いればいいということです。モバイルより昇殿職の要件が甘いラップトップ向けであるためにモデムを別チップとして用意しても大きな問題にはならないはずです。ちなみに、X65モデムを用いれば、キャリアアグリケーションを用いることで最大下り10Gbpsの通信をサポートします。

また、FascConnct 6900を内蔵しており、Wi-FiWi-Fi 6/6Eに対応。最大3.6Gbpsでの通信速度を実現します。Bluetoothは5.1のサポートにとどまっていますが別に問題はないでしょう。

製造プロセスはSamsung 5nmになるとのことで「Windows 11がサポートする中で初めての5nmプロセッサ」であるとアピールしています。競合しているIntelは10nm、Ryzenは7nmだし、AppleMediaTekは5nmだけどWindows 11を公式にはサポートしていないから嘘ではないですね。

Windows 11をターゲットにしているということからわかるように、Microsoftが求める仕様に準拠しています。その大きな特徴としてはMicrosoftのPluton TPMに対応したTPMを投資しており、Qualcommのド国のセキュリティプロセッサも搭載しています。これらによってWindows 11にネイティブで対応しています。

ちなみに、すでに登場済みのQualcommWindows向けSoCであるSnapdragon 850/8cx/7x/8cはすべて、indows 11が正式にサポートししています。

7c+ Gen 3

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Snapdragon 7cは、Snapdragon 8cxの下位モデルとして廉価モデルとして登場し主な市場はWindowsもありますが、Chromebookで重宝されています。Chromebookの市場ではx86とArmという違いは目立ちにくく、電力効率がよく、廉価な7cが重宝されているということですね。

7cも大幅なアップデートを迎えました。というより+がついているから7cの上位モデルといったほうがいいのかな?

CPU/GPUについてですが、CPUは8コアで強化されたという説明にとどまっているものの、7c Gen 2と比較してマルチスレッドが60%、シングルスレッドが30%、GPUが70%性能が向上しているとのこと。

メモリは、LPDDR4x-4266とともにLPDDR5-6400をサポートしており、部分によってはSnapdragon 8cx Gen 3よりも仕様がいい部分が数個あります。ストレージは、NVMeとeMMC 5.1、UFS 2.1に対応します。

モデムは7c+ Gen 3は内蔵しており、別で用意する必要はありません。モデムはSnapdragon X53を内蔵。mmWaveの対応はなくSub-6のサポートにはとどまるものの最大下り3.7Gbpsでの通信での通信が可能になっている他、その他の無線ではどの世代のFastConnectを搭載しているかはわからないもののWi-Fi 6EやBluetooth 5.2をサポートしています(Bluetoothも8cx Gen 3よりも仕様がいい)。

製造プロセスは6nmとなっており、どのファウンダリで製造されるかは明かされていません。

対応するOSはWindows 11とChromebookとなります。


今回、発表会の中で、Microsoftの最高プロダクト責任者(CPO)のパノス・パネイ氏(Surfaceの発表会でよく見る人)が登場しQualcommMicrosoftが今後協力して製品を開発していくと強調しており、おそらく今後登場するであろうSurface Pro Xの第3世代SoCとなるMicrosoft SQ3(仮称)はSnapdragon 8cx Gen 3をベースにしたものになると見られます(MicrosoftさんQualcommの製品発表会に出て「一緒に製品作る」だの、IntelIDM 2.0でも「ここで作るー」だのSurfaceとしてなんか至るところに登場してる気がするのは私だけでしょうか)。

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