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AMD、Zen 4を最大96コア搭載した第4世代「EPYC 9004」シリーズを正式に発表!

出典:AMD

錦です。

AMDは、Zen 4アーキテクチャを採用したデータセンター向けCPU第4世代「EPYC」を正式発表しました。

EPYC 9004

EPYC 9004シリーズは、もとより「Genoa」という名前で紹介されていた新世代EPYCです。Zen 3ベース「Milan」の後継であり、Genoaは主にデータセンタ・HPC向けの需要を担います。今世代より命名法則が変更されており、新たに9000シリーズが付与されています(命名法則は後述)。

CPU

今回の大きなアップデートはいくつかあります。まずは最大コア/スレッドが96コア192スレッドとMilanの1.5倍に増加したことが挙げられます。Zen 4でもCCD(チップレット)あたりのコア数は8コアで変わりがないため、Genoaではもともと8基だったCCDが12基に増加することで多コアを実現しています。

そして、アーキテクチャTSMC 5nmで製造されるZen 4に変わりました。プロセスの微細化が行われているため、ダイのサイズも小さくなっている模様です。これらの理由によりCPUとしても性能が向上しましたが、Zen 4の特徴でもあるキャッシュの増加も行われています。コアあたりのL2キャッシュが512KBから1MBに増加しました。

その他の変更点にはAVX-512への対応もあります。これもZen 4の追加点です。Zen 4では256bitのアクセラレータしか搭載していないのには変わりがないので、IntelのAVX-512より性能は高まらないものの、効率が向上するとしています。その他、VNNIやbfloat16のサポートも追加されており、AI/DLワークロードも高速化されているとのこと。

アーキテクチャ自体は、Ryzen 7000シリーズと大差あるわけではなく、IntelのようにRyzen向けに無効化されているような機能や命令もないため、Ryzen 7000シリーズと比較すると追加の機能はなさそう。

メモリ

メモリも強化されています。まず、EPYCとしては初めてDDR5に対応しました。DDR5-4800での対応です。

それに加えて、メモリコントローラが増設、8チャネルまでの対応だったのが一気に12チャネルまで増加しました。DDR5への対応、メモリコントローラの増加からメモリ帯域も向上しており、前世代ではソケットあたり204.8GB/sだったのが、今世代では最大460.8GB/sと2倍以上の帯域を実現しています。

I/O周り

I/O周りも進化しています。こちらもEPYCとしては初めてPCI Express 5.0に対応。2ソケット時にGen 5を160レーンに加えてGen 3を12レーンもサポートするとしています。なお1ソケット時には128レーンサポートしています。

また、PCIe 5.0 x16の400Gb InfiniBandを利用したときに、単方向で396Gbps、双方向で790Gbpsに到達するともしています(それぞれ実効値98%と99%)。

そして、CXL 1.1に対応し、メモリを搭載したCXLコンポーネントのメモリをメインメモリの一部として扱うことが可能になりました。

ソケット

また、このシリーズではソケットも変更になっており、SP5ソケットとなりました。SP5ではパッケージが正方形に近いサイズ75x72 mmになり、大きくなりました。これにより小さくなったチップレットが多めに配置できる事になり96コアへのコア数増加に対応することができました。

ソケット形状は、全世代から2002ピン増えた6096ピンのLGAとなっています。

製品ラインナップ

登場した製品ラインナップは以下のとおりです。

SKU コア/スレッド TDP cTDP ベース
クロック
ブースト
クロック
L3キャッシュ L2キャッシュ
9654 96C/192T 360W 320W~400W 2.4GHz 3.7GHz 384MB 96MB
9634 84C/168T 290W 240W~300W 2.25GHz 3.7GHz 384MB 84MB
9554 64C/128T 360W 320W~400W 3.1GHz 3.75GHz 256MB 64MB
9534 64C/128T 280W 240W~300W 2.45GHz 3.7GHz 256MB 64MB
9454 48C/96T 290W 240W~300W 2.75GHz 3.8GHz 256MB 48MB
9354 32C/64T 280W 240W~300W 3.25GHz 3.8GHz 256MB 32MB
9334 32C/64T 210W 200W~240W 2.7GHz 3.9GHz 128MB 32MB
9254 24C/48T 200W 200W~240W 2.9GHz 4.15GHz 128MB 24MB
9224 24C/48T 200W 200W~240W 2.5GHz 3.7GHz 64MB 24MB
9124 16C/32T 200W 200W~240W 3.0GHz 3.7GHz 64MB 16MB
9474F 48C/96T 360W 320W~400W 3.6GHz 4.1GHz 256MB 48MB
9374F 32C/64T 320W 320W~400W 3.85GHz 4.3GHz 256MB 32MB
9274F 24C/48T 320W 320W~400W 4.05GHz 4.3GHz 256MB 24MB
9174F 16C/32T 320W 320W~400W 4.1GHz 4.4GHz 256MB 16MB
9654P 96C/192T 360W 320W~400W 2.4GHz 3.7GHz 384MB 96MB
9554P 64C/128T 360W 320W~400W 3.1GHz 3.75GHz 256MB 64MB
9454P 48C/96T 290W 240W~300W 2.75GHz 3.8GHz 256MB 48MB
9354P 32C/64T 280W 240W~300W 3.25GHz 3.8GHz 256MB 32MB

モデルナンバー

今回のモデルでは新たな命名法則が適用されています。前述の通り、今シリーズでは従来の700xではなく9004というモデルナンバーが付与されています。これはおそらくZen 4世代にBergamoという別のラインナップが登場するためであると見られます。

千の位では「シリーズ」を示すようになっています。おそらくBergamoではこの部分が変更されるのでしょう。

百の位では「コア数」を示しており、 6なら96コア、5なら64コア、4なら48コア、3なら32コア、2なら24コア、1なら16コアとなります。いかにもこの後コアが増えるぞ!!って言う感じで7/8/9が空いていますが、これはBergamoが最大128コアであるためでしょう(すでに公式発表として128コアで有ることが明らかになっています)。

十の位では「性能」をを示しています。これは明確な基準があるわけではなさそうですが、多分上記2桁が一致したSKUが複数あったときに上下関係を作るものになるでしょう。

そして1の位は世代となっています。

最後のアルファベットについてはCPUのタイプが示されていて、無印モデルはマルチソケットに対応した通常モデル、F付きモデルはコア数よりもクロックを重視したモデル、Pはシングルソケット向けモデルとなっています。

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