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Intel、16bit/32bitアプリの動作を省いた「X86-S」アーキテクチャ(ISA)のホワイトペーパーを公開

これはx86_64のRyzen 7 5700XのCPU-Z

錦です。

Tom's hardwareによると、Intelが「X86-S」なるアーキテクチャについて記述したホワイトペーパーを公開したことがわかりました。

X86-S EXTERNAL ARCHITECTURAL SPECIFICATION Rev. 1.0 April 2023Intel・PDF)

32bitサポートを省いたISA

IntelX86-Sについて、古い実行モードやOSのサポートを削除したISAとしています。ISAはプロセッサの根幹に関わる命令セットのことで、「x86」やら「x64」がそれに当たります。基本的にIntelAMDとその互換プロセッサを製造する企業はAMD 64をベースにしたx64アーキテクチャを使用していますが、x64は32bitアプリケーションを引き続きサポートしており、x86IA-32)と互換性を持っています。

更には、8086のような16bitプロセッサともある程度の互換性を保っています。

現在のx64プロセッサでは、古いアプリケーションを動作させるために16bitモード→32bitモード→64bitモードという順序でCPUのモードを変更していますが、x86-Sでは16bitと32bitアプリケーションのサポートを打ち切ることによってはじめから64bitモードでCPUを起動させることができます。

X86-Sは16bitと32bitの環境をインストールすることができないようになっています。ただし、2020年の時点でUEFIで動作しないこれらのOSの互換機能はファームウェアから削除されているため、そもそも大きな影響を受けないとは見られます。

32bitアプリケーションの動向

そもそもOSについてはWindowsmacOSともに32bit版の提供を終了(WindowsWindows 10としては存在してるもののEOLが決定)しています。

実際、マイコンや組み込みを除いて、(いわゆるワークステーションやサーバーなどにおける)パソコンと呼ばれるCPUは15年くらい前から64bitへの移行が進んでおり、これは世代に置き換えるとWindows 7世代です。Intelとしてもそろそろ削除してもいいんじゃね?ってなってることでしょう。

なお、64bit環境下で、32bitアプリケーションを動作させるためのモード「Compatibility Mode」は残すとしており、一般消費者がいう32bitアプリケーションは、環境が64bitであればこれからも動作し続けるようです。

X86-S

X86-Sですが、現時点ではIntelからの提案にとどまっています。すぐさま製品が登場するわけではないということには注意が必要です。IntelとしてIntel 64として開発しているものをX86-Sに将来的に置き換えるのか、それとも特定の分野向けに分岐させたアーキテクチャとするのかもわかっていません。

あと、このISAはx86やx64とは別物であるため、OSなどもサポートが必要になることになります。これは各種OSSへのコミットなどで全貌が明らかになっていくことになるかもしれませんね。

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